有限会社 ワールドサービス

競争力強化に向け切断工程を刷新して短納期を実現

 トラック全般の鈑金、整備、自動車架装、中古車販売を行っています。商圏は佐賀県や福岡県など筑後地方が中心で、大手トラックディーラーと運送会社が主な取引先です。
 当社は車体後部の架装(荷台部分の構築)に専門的な技術を持ち、短納期での対応で顧客から信頼を得ています。特に大型トラックの架装はすべてオーダーメイドで、取引先の要望に応じて切断や曲げ、溶接、塗装を熟練の従業員が行います。
 当社の従業員は1人で架装の全工程を行うことが可能な「多能工」であることも特徴です。商圏内では大型トラックの架装ができる工場は当社のみ。少数精鋭で、各人が責任を持って製造する体制を作っています。



取締役部長 下道 政行



本事業への取り組みの経緯

 補助を申請した当時は、排ガス規制の関係で運送会社のトラック買い替え需要が高まったことにより当社への架装依頼も増加していました。運送会社は取扱製品の特徴に応じて荷台の形状やデコレーションが異なり、複雑な架装になるほど納品までに時間を要します。しかし、運送会社はトラックの稼働日数が売り上げに直結しますから、普段以上に短納期での対応が求められます。それまでは入庫から平均14日で納品していましたが、取引先からは10日前後での納品要請が増えました。
 豊富な経験と高い技術力を持つ多能工による少数精鋭体制は当社の強みですが、高まった需要に対してどうしても今以上の納期短縮は難しく、月に2~5件ほどは依頼を断らざるを得ない状況でした。
 そこで、補助事業を通じて、切断工程に新しい設備を導入することにしました。


実施内容(取り組みの詳細)

 既存設備では薄物鋼板の切断精度が低く、バリ(素材を加工するときに発生する残材)の発生が常態化しており、バリ取りや研磨などの後処理に時間が取られていました。さらに、高収益な架装分野を強化していくためには、特に課題である長尺物の加工を内製化することも不可欠でした。
 これらの課題を解決するために、鳥栖工場にコンピュータ制御の「スイング式油圧シャー(シャーリング)」を設置しました。製造プロセス内の薄物鋼版の切断工程において、切断精度の向上・所要時間の大幅な短縮による納期面の強化を図りました。




取り組み成果・波及効果

 架装製造はミリ単位の精密さが要求されます。従来設備では、スケールで寸法などを測定・確認したうえで機械加工を行う必要がありましたが、スケールで計るのは時間がかかるし今ひとつ正確さに欠けていました。それが新設備の導入で、測定の手間がなくなり、また加工精度が向上したことでバリ取りなど後処理が必要な製品の割合も数%に低減。品質の向上と、何より作業時間短縮につながりました。
 また、既存機械では厚さ4.5mm以上の鋼板の切断は外注するしかありませんでしたが、新しい機器では6mmまでの切断が可能に。外注品が届くまでの待ちの時間が削減され、取引先からの短納期発注に応えることができ、外注費も削減されました。
 作業時間の短縮により、従業員の残業時間が減り人件費の削減も実現。その分、取引先への還元として販売価格を抑えることにつながっています。




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事業所の魅力をさらに深掘り!

Q:御社について教えてください

A:筑後地方を中心に、トラック全般の鈑金、整備、自動車架装、中古車販売を行っています。


Q:御社の経営理念は

A:少数精鋭で、お客さまの要望に応え、短納期を実現。


Q:アピールしたいことは

A:オーダーメイドなど自動車架装の技術力には自信があり、トラック荷台部分の製造、加工、組み立てに定評があります。


Q:興味をひかれたお客さまにひと言

A:当社の高い技術力でトラックの用途や要望に応じた複雑な架装やトラック周りのデコレーションなどを製造します。


今後の展望・活動予定

 新しい機器は使い勝手もよく、コンピュータ制御なので、操作を覚えれば熟練工でなくても高精度な加工ができます。また既存の設備では精度が出しにくかったり時間がかかりすぎたりなどの理由で他社に外注していた加工が内製化できたことで一貫生産体制の強化にもつながり、収益性も向上しました。さらに安全性が飛躍的に向上。これまで鉄板の切断作業などで発生していた手指のけがも減少しました。
 当社は補助事業による従業員の負担軽減や作業効率向上を進める一方で、切断や曲げ、溶接、塗装など事業の基礎となる技術の向上にも目を向けています。資格取得やジョブローテーション、OFF-JT(職場外や業務外で行う研修)を積極的に取り入れて、熟練工の育成にも注力しています。今後も競争力を高めて、事業の存続を目標に日々邁進していきます。



INFORMATION




有限会社 ワールドサービス

代表者:森松 武雄

住 所:佐賀県鳥栖市酒井西町861-1

連絡先:TEL0942-84-1514/FAX0942-84-1534

U R L :

資本金:500万円

設 立:平成5年6月

従業員:9人

Saga Monodukuri /輸送用機械器具製造業
平成30年度補正/ものづくり技術・一般型

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