株式会社 日商機材

溶接ロボットシステム導入による作業員不足解消 生産性も上げて受注増に

 当社は2013(平成25)年、仮設ハウス販売を展開する(株)日商販売のグループ会社として設立しました。当初は仮設ハウス以外の商品を扱う販売会社でしたが、仕入商品の内製化を進めるために、2017(平成29)年から日商販売グループ向けの仮設ハウスを製造する工場として再スタートしました。現在、主な取引先は(株)日商販売のほか(有)日商レンタルがあり、建築現場向けなどのユニット式仮設ハウスが主な商品です。
 (株)日商販売の持つ全国的な販売網を背景に、当社の受注量、売上高はともに大きく伸びています。さらに大手顧客と提携したことにより、当面は受注量増加を見込んでいます。



所長 川嶋 晃史



本事業への取り組みの経緯

 受注量や売上額の増加があり、当社の経営は一見すると順風満帆のようですが、生産現場は人手不足による厳しい状況が続いています。
 特に、溶接作業員の不足は深刻です。生産プロセスの中で最も重要なのが溶接工程です。ユニット式仮設ハウスは屋根骨格、床骨格、妻骨格の溶接加工を同時に行います。そのために溶接員が最低でも3人は必要なのですが、今はギリギリの人数で回している状況です。また、不慣れな若手溶接員による溶接忘れなども散見され、その都度熟練工による確認作業が必要になり、ハウス1棟完成させるのに時間がかかる要因となっていました。一般的に溶接技術習得には5年かかるといわれ、なり手はなかなか見つかりません。
 一方、経営リスクの分散のため、他業界向けの部品製造工場を増設する計画が立ち上がりました。しかし、それによって一人の溶接員の負担が増えると残業も増加し、納期遅れの発生も懸念されます。溶接作業員不足を根本的に解消するためには、人手に頼らないロボットシステムが必要と考えました。


実施内容(取り組みの詳細)

 今回の補助金事業で導入したのは、治具にセットした鋼材を効率よく製品化するフレーム溶接ロボットシステムです。溶接に特化した片持ちアーム構造でコンパクトな「1400 G3」を2台、「1800 G3」を1台購入しました。床骨格と屋根骨格にはアームが届かなかったため、「1400 G3」2台を左右に並べ、その間に治具を置き、溶接ロボットを長さ5mのレール上を移動させながら加工します。妻骨格の溶接にはアームの長い「1800 G3」を治具の中心に据えて、360度回転させながら加工をするようにしました。
 溶接加工が自動化され、高効率、高精度、高品質での加工が実現できました。


取り組み成果・波及効果

 溶接加工の自動化により、熟練溶接作業員がいないときでも容易に作業ができるようになりました。経験が浅い溶接作業員の溶接忘れや仕上がりに個人差が出る課題もクリア。金属かす「スパッター」の発生も低減し、発生しても除去にかかる時間は手作業の数倍早く、加工面もきれいです。
 骨格づくりにかかる時間は1枚あたり2時間から50分に短縮。作業時間を約6割削減できたことで、残業時間が減りました。
 ロボットによる溶接は正確で均一に加工でき、しかも休憩なしで作業ができます。その結果、熟練作業員の負担軽減や作業の省力化、低コスト化につながり、生産性が向上。作業員不足をカバーし、稼働率アップに向けた体制が整いました。



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事業所の魅力をさらに深掘り!

Q:御社について教えてください

A:建築現場向けなどユニット式仮設ハウスを製造しています。


Q:御社が大切にしていることは

A:高品質な製品づくりとフットワークの軽さです。


Q:アピールしたいことは

A:自社に輸送部門があるので、製品が完成すると直接建築現場に即納品・設置が可能です。


Q:興味をひかれたお客さまにひと言

A:当社の製品は10~20年と長持ちします。建設現場で役目を終えたら、別の現場や一般家庭などでリユースし、新たな役割を与えています。


今後の展望・活動予定

  同じ製品をたくさん作り続けるとき、ロボットシステムの恩恵は絶大です。今後も溶接加工の自動化を進めたいと思いますが、当社の強みの一つである多品種少量生産との兼ね合いも考えています。製品の仕様によってその都度プログラムを変更しなければならないことから、これまで通りの作業員による溶接加工を行う場合もあります。効率化を進めるために、人手が必要な部分をどう減らしていくかが今後の課題です。
 また製造現場では外国人作業員の割合が多く、溶接技術が一定レベルに達したころに帰国されると築き上げた技術が日本に残らないというリスクがあります。長く働ける人材を確保するために、労働環境もさらに改善していく必要があると考えています。
 また、公共工事による仮設ハウスの需要には波があるので、海外も視野に入れ販路を確保していきたいですね。



INFORMATION




株式会社 日商機材

代表取締役社長:四本健一朗

住 所:佐賀県鳥栖市西新町1426-3

連絡先:TEL0942-85-3220/FAX0942-50-8320

U R L :

資本金:8,400万円

設 立:平成25年2月

従業員:30人

Saga Monodukuri /金属製品製造業
平成30年度補正/ものづくり技術・一般型

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