有限会社 エトワール・ホリエ
創業124年、伊万里市に拠点を置く老舗菓子舗です。饅頭やせんべいなど100種類以上の商品を自社で製造販売しています。主力商品は発売以来73年間、お客さまに親しまれている「伊万里焼饅頭」です。3代目堀江茂男が、伊万里が世界に誇る伊万里焼にヒントを得て試行錯誤して生み出しました。伊万里焼のふた付き湯のみを模し、ひび割れの特殊な形状を独自の焼き方で実現。中は白あんとクルミ入りで上品なおいしさに仕上げています。手土産、お祝いごとや法事の品、ティータイムのお供に人気があります。平成29年6月にはJALファーストクラスの機内食(デザート)として採用されました。

代表取締役 堀江あさ子

本事業への取り組みの経緯
伊万里焼饅頭は発売以来、設備投資や広告宣伝の効果もあり、順調に売り上げを伸ばしてきました。現在エトワール・ホリエの全売上の70%を占めています。
しかし近年の売り上げは横ばい状態です。伊万里焼饅頭の購買層は50~60歳代以上で、時代とともに若者の購入者が減少。やわらかいものを食べ慣れた若者には、伊万里焼饅頭のように水分量が少なく、ぽっくりした食感は敬遠されていきました。
そこで、若者にも馴染みやすい新商品の開発に乗り出しました。工夫を重ね、2018年に完成したのが「伊万里焼饅頭・緑茶」です。伊万里焼饅頭秘伝の生地で抹茶を練り込んだあんを包み、しっとりとのどごしのよいお菓子に出来上がりました。
ところが「伊万里焼饅頭」に比べ水分量が増えたため、日持ちせず、包装に手間がかかるという課題に直面。その解決のために、自動包装機を導入することにしました。
実施内容(取り組みの詳細)
水分量を増やした伊万里焼饅頭・緑茶を日持ちさせるためには、脱酸素材の封入が不可欠です。当初は昔ながらの手作業で、伊万里焼饅頭・緑茶を1個ずつ袋に入れて形を整え、脱酸素剤を入れて真空パックにし、封用のシールを貼っていましたが、この方法では包装工程がひっ迫し、常時生産のめどが立ちませんでした。
そこで自動包装機を導入し、脱酸素剤を伊万里焼饅頭の下に置いてラインに流し、ピロー包装をしてシールまでの工程を半自動化したところ、生産性が上がり、作業負担も減りました。商品に直接接触する時間が短くなり、衛生面のリスク軽減にもつながりました。
取り組み成果・波及効果
導入の結果、課題だった日持ちは、脱酸素剤の封入と、空気を通さない専用袋による包装で、従来10日間だった賞味期限を1カ月~2カ月ほど延長することができました。
また、これまで3000個の包装に、従業員4人が付きっきりで6時間かかっていましたが、2人で1時間弱に短縮されました。1人1時間で包装できる個数が125個から1500個と、生産性が12倍向上しました。
これを受け、包装スタッフ2人を製造工程部門に配置転換でき、伊万里焼饅頭・緑茶の製造拡大につながりました。
作業効率がよくなったことで、従業員は商品に丁寧に向き合うことができ、品質保持の向上につながっています。
事業所の魅力をさらに深掘り!
Q:御社について教えてください
A:伊万里焼饅頭を看板商品に、当店にしかない、当店でしか味わえないお菓子を製造販売しています。
Q:御社の経営理念は
A:「社員とともに持続・成長する母体として、また生活を彩るお菓子作りで社会貢献を目指す」です。
Q:アピールしたいことは
A:故郷へのリスペクトから生まれたホリエのお菓子たちです。
Q:興味をひかれたお客さまにひと言
A:エトワール・ホリエのお菓子たちには、ほかでは見ること、味わうことができない技が隠れています。それを見つけたお客さまは笑顔になってくれると思います。
エトワール・ホリエならではの味を作り出す技術の伝承のためには、どこまでを手作業にして、どこまでを機械に頼るのかという課題はあります。
しかし、最新包装機の導入により賞味期限を延長できたことで、従来通り「明日は少し不足しそうだから作ろう」という「見込み生産」から商品を先取りして作ることが可能になり、年間の販売計画と連動した計画生産ができる体制が整いました。これは当店にとっては大きな変化です。大手の菓子メーカーとは違い、当店のように小規模な企業は予算も限られています。今回、設備投資のための補助金申請はいろいろな方の協力を得て実現しました。地域の皆さんに支えられていると実感しています。
また、当店は2025年に創業125周年を迎えます。イベントなどで皆さんへの感謝を伝えたいと思います。
INFORMATION
有限会社 エトワール・ホリエ
代表取締役:堀江あさ子
住 所:伊万里市伊万里町甲585番地
連絡先:TEL0955-23-1515/FAX0955-23-1516
U R L :有限会社 エトワール・ホリエのwebサイトはこちら
資本金:300万円
設 立:明治33年4月
従業員:21人
平成29年度補正/ものづくり技術・一般型