株式会社 シマブン

切断効率化システムと自動切断機械の導入で屋外グレーチング市場に新製品投入

 水回りの環境整備に欠かせない塩化ビニルを使った「樹脂製のグレーチングと受枠」を中心に、製造と販売事業を展開しています。当社の製品は老人ホームなどの高齢者施設、ホテル、学校などの浴室やトイレ、シャワールームなどの排水用溝蓋および排水溝に使用されています。
 樹脂製のグレーチングは上部に軟質の塩化ビニル、下部に硬質の塩化ビニルを使用。足に触れる部分はクッション性を持ちつつ、滑りにくいという特徴があり、樹脂グレーチングでは全国でも上位のシェアを誇っています。高い安全性だけでなく、カラーのバリエーションも豊富でお客さまに好評をいただいています。



代表取締役 島 信英



本事業への取り組みの経緯

 これまでの樹脂製グレーチングは、汚れやすいこと、車両などの重い荷重には耐えられないことなどの課題があり、屋外用としては主にプール周り程度の利用に留まっていました。そこで、ポリアミドを使用した高強度樹脂グレーチングを開発。従来のものより耐荷重性能は2~4倍にアップしつつも軽く、また建築物に合うさまざまなカラーに対応可能で、他社の屋外用金属グレーチングとのさらなる差別化を図ることができました。
 ただ、同製品は屋外用なので、盗難防止や洪水時などに外れるのを防ぐためにボルトでの固定が必須です。蓋のボルトと受枠のナットの穴径の誤差はクリアランスを含め±1mmで取り付ける必要があり、特に受枠は誤差±0.1mmで加工しなければなりません。同製品を増産するためには、切断寸法の精度の確保と歩留まりの向上が課題でした。
 この課題を解決するために、今回の補助事業を通し、枠製作の切断工程を自動化する新設備導入を決めました。


実施内容(取り組みの詳細)

 これまでの作業の流れとしては、受注後、まずは受枠製作指示書を作成。鋼材からお客さまが指定する枠サイズを何本取れるか電卓で計算し紙ベースで回覧。その後、アングルカット機で目盛りを目視の上、手動で鋼材を切断していました。
 本事業では、この作業を自動化するために「切断効率化システム」と「パンチプレス」の2つの設備を導入しました。
「切断効率化システム」は自動計算された受枠製作指示書から切断用データに変換するソフトウェアで、「パンチプレス」はパソコンとタッチパネルの表示操作を備え、切断用データを読み込んで指定の寸法に切断する機械です。「切断効率化システム」で作成された切断用データをネットワークやUSBメモリを使って「パンチプレス」へ転送し、後は作業者が鋼材をセットするだけで簡単に切断加工ができるようになりました。




取り組み成果・波及効果

 切断作業の自動化・効率化を進めた結果、寸法の計算間違いや切断時の寸法間違いなどのヒューマンエラーが防止でき、従業員の負担は激減。また、「切断効率化システム」による最適な計算で、端材ロスも最小化できました。
 機械のくせを知り尽くした従業員に頼っていた切断作業は、鋼材をセットするだけで誰でも高精度な切断ができるようになりました。また、切断と溶接作業を兼任していた従業員は溶接に集中することができ、受枠の生産性も向上しました。グレーチングの市場は小さく、その中でも高強度樹脂グレーチングを生産できる会社は希少です。そのためお客さまからの依頼も集中しますが、生産効率アップによって「翌日発送」というような短納期発注にも対応できるようになり、お客さまからの高評価につながっています。




もっと知りたい!
事業所の魅力をさらに深掘り!

Q:御社について教えてください

A:屋内外用の樹脂グレーチングを主軸に、環境整備に欠かせないユニバーサル商品などを製造・販売しています。


Q:御社が大切にしていることは

A:安心して購入・使用していただけるように、お客さまのことを常に考えて行動しています。


Q:アピールしたいことは

A:当社の製品は、安全性を追求しつつ、カラーのバリエーションも豊富で、樹脂グレーチングメーカーでは全国上位のシェアを誇っています。


Q:興味をひかれたお客さまにひと言

A:お客さまの要望に応え、精度の高い高強度樹脂グレーチングをはじめグレーチング商品の短納期を実現しています。


今後の展望・活動予定

 従業員に向けてよく話すのは「楽をしようよ」ということです。人材も限られた資源です。負荷が高い作業ばかりでは作業効率も悪くなります。省力化できるシステムや機械、付加価値を上げる設備の導入は今後も考えていきたいと思います。
 樹脂は温度で伸縮したり反りが出たりと、金属など他の素材に比べ扱いがとても難しく、樹脂を使ったグレーチングを製造する企業はわずかです。今後も独自の商品を開発しながら、「こんなところにも使える」という新仕様をお客さまに提案しつつ、ニッチな市場にチャレンジしていきたいと思っています。
 また従業員も「日本初、世界初の商品開発をしていこう!」と意気込んでいるところです。今後も進化を止めることなく、グレーチングのトップシェアを目指して歩み続けてまいります。



INFORMATION




株式会社 シマブン

代表取締役:島 信英

住 所:佐賀県三養基郡みやき町江口2488-5

連絡先:TEL0942-89-5236/FAX0942-89-5306

U R L : 株式会社 シマブンのwebサイトはこちら

資本金:2,000万円

設 立:昭和41年10月

従業員:40人

Saga Monodukuri /金属製品製造業
平成30年度補正/ものづくり技術・一般型

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