有限会社 玉喜
新生産方式を確立
栄養豊富な有明海を擁する佐賀県は日本有数ののりの産地です。そんな佐賀の地で創業以来半世紀にわたり、のり原料の卸販売や、焼きのり・味付けのりの生産と販売に携わってきました。のりの加工では、生活協同組合の市販品とコンビニエンスストアの業務用商品の製造を手掛けています。
のりのおいしさを知る当社は、筑後川と早津江川が交わる有明海流域で獲れるミネラルたっぷりの大詫間産ののりを使い、オリジナルブランド「一流浜」も製造販売しています。近年はイタリアなど海外展開を進めるほか、原木栽培干ししいたけの卸販売にも取り組んでいます。

代表取締役社長 寺田 和弘


本事業への取り組みの経緯
当社ののり商品製造で使用頻度が高い焼きのり加工は約30年間、同じ作業方法、人数で行ってきました。近年、贈答用などでの需要が減少する一方で、コンビニ向けの業務用商品は伸びています。とりわけおにぎり用のりの需要は増え、製造全体の60%を占めています。今後も長期的に増加が見込まれ、品質、価格ともに競争に打ち勝っていくことが、メーカーとしての生き残りにつながると考えています。
旧態依然としたシステムでは焼きのり加工のスピードが遅く、検査漏れによる加工不良品なども散見されていました。クライアントからの対策要請もあり、課題解決のために新しい生産方式の確立に取り組むことにしました。

実施内容(取り組みの詳細)
効率的に質の良い焼きのりを量産するために研究し、導入した機器は4つ。最新デジタルカメラで異物混入検出や焼きむらを不適合品として排出する「自動海苔選別機」、光が遮られたり反射する状況下でも不適合品を自動排出できる「厚み異物検出装置」、表と裏が反対になったのりを排出する「表裏検出装置」に加え、生産ラインの最終地点に「ライン監視装置」を設置しました。
生産ラインでは、1枚のりが詰まると、そこに次々のりが流れてきて玉突き状態になり、時間と商品のロスが生まれる原因になります。一時的な停止や空転など少しのロスも許さないよう、カメラとモニターでラインを俯瞰してモニタリングします。

取り組み成果・波及効果
のりに付着した肉眼では分かりにくい異物がモニターに表示されるので、良品と不良品の判定精度が向上して歩留まりの改善につながりました。
焼き加減の検査と確認を「人」から「機器」頼みにすることで検査工程の精度が向上。焼成後の検品工程は不要となり、30年以上3人体制だったラインスタッフの監視役を外し2人体制にでき、省力化につながりました。スタッフ2人体制の13m生産ラインは日本初です。現在、稼働時間は9時から22時までの2交替制となり、夜勤のマンパワー不足が解消しました。
また、機器を導入することで、生産ラインを俯瞰して見る新しい生産方式の構築につながりました。




事業所の魅力をさらに深掘り!
Q:御社について教えてください
A:海と山の産地問屋として約50年。焼きのりや味付けのりなどを生産、販売しています。
Q:御社の経営理念は
A:佐賀ののり問屋として、経験豊かな目と長年築いてきたネットワークでのりを厳選。確かな品質ののりを皆さまに届けます。
Q:アピールしたいことは
A:漁師の言葉で最高ののりが獲れる地域を「一流浜」と言います。そこで一番摘みした、上質で栄養価の高いのりを焼いたオリジナル商品「大詫間支所産 一流浜」が好評です。
Q:興味をひかれたお客さまにひと言
A:長年積み重ねた経験と知識を数値に落とし、のりの質によって生産ラインの速度や焼き加減を変えておいしいのりに仕上げています。ぜひ一度ご賞味ください。
これからは人と協調して働く「協調ロボット」の導入も視野に入れる必要があると思っています。ものづくりの原点である安心・安全な品質管理と法令順守は人がしっかりとチェックして、単純作業はロボットに任せていきたいと思います。
世界でカーボンニュートラルが推進されている今、のりの生産から商品づくりまで有明海の環境に配慮し、温室効果ガスの排出削減につながる商品を開発すれば、経済成長にもつながると捉えています。今後はGX(グリーントランスフォーメーション)を推進し、人材育成にも努めていきたいと思っています。
併せて、既に海外のレストランなどと取引をしていますが、質の良い焼きのりが量産できるようになった今、今後もさらに注力していきたいと思います。
INFORMATION
有限会社 玉喜
代表取締役社長 寺田 和弘
住 所:佐賀県佐賀市北川副町光法1777-10
連絡先:TEL0952-25-2281/FAX0952-25-2282
U R L :有限会社 玉喜のwebサイトはこちら
資本金:5,000万円
設 立:昭和43年9月
従業員:70人
平成29年度補正/ものづくり技術・一般型