株式会社 ジェイ・テック
1967(昭和42)年創業以来、高級紙箱や化粧木箱のメーカーとしてパッケージ製造に携わってきました。中でも Vカットボックスという板紙を加工した高級商品向けのパッケージを製造している会社は全国に数社しかなく、非常に専門性の高い分野の一角を担っています。
主力商品は大手コンビニエンスストア用のおせち重箱や航空機内食用の容器です。衛生面をはじめ総合的な品質や製造能力は当社の強みで、おせち重箱では国内トップシェアを誇ります。オーダーメイドの特注品には力を入れていて、熟練工によるコンマミリ単位の調整など、高い技術力と確かな製品作りで顧客の皆さまからも厚い信頼を寄せていただいています。

取締役社長 濱本 享蔵

本事業への取り組みの経緯
当社は小ロットで多品種の特注品の製造を社内で一貫生産していますが、商品を出荷するための外装用段ボール箱は外注していました。完成までには1週間を要し、そのため「短納期で」という顧客の要求に応えられず、受注できない案件もありました。
さらに外装用段ボール箱が5~10枚しか必要ない場合でも、最低50~100枚の発注が必要です。余った分は同サイズの注文がなければ無駄になり、最終的に処分せざるを得ません。受注品数に見合った数の外装用段ボール箱の発注ができず、コスト増の大きな原因となっていました。
また将来のために熟練工の後継者を育てることが大事ですが人材教育もままならず、誰でも製造が可能な生産プロセスに改善することが必要でした。
実施内容(取り組みの詳細)
これらの課題解決のために「オンデマンド型製箱装置」を導入。外装用段ボール箱を内製化することで、生産プロセスの改善と顧客満足度の向上を目指しました。
新しい装置は100種類を超える形状パターンに対応し、数値を入力するだけで簡単に外装用段ボール箱を製造することができます。極小ロットにも柔軟に対応でき、1時間で最大600個の製造が可能です。1個だけの製造も可能ですから、必要な時に必要な分の段ボール箱を製造できるようになりました。
これまで外装用に既製の段ボールを使う場合もありましたが、この装置では商品がぴったりと納まる箱が作れるので、緩衝材およびそれを詰める手間と時間も削減できました。

取り組み成果・波及効果
外装用段ボール箱の内製化で即日対応が可能になり、顧客に求められている小ロット多品種、短納期が実現しました。加えて、仮に1つだけ寸法違いや糊接着不良が発生してもすぐに作り直すことができます。また、内製化により、年間約3500万円かかっていた外注費は約1000万円のコスト減、緩衝材をなくすことで約1200万円の経費削減につながりました。
さらに、簡単な操作で誰でも製造ができます。タッチパネルで箱の形状を選んで寸法を入力するだけで、段ボールシートが自動でカット、罫入れのうえ排紙されます。これにより製造環境は大きく改善されました。
新しい装置の導入は目標とした生産プロセス改善と顧客満足度の向上につながり、仕事の幅が広がりました。


事業所の魅力をさらに深掘り!
Q:御社について教えてください
A:佐賀県唐津市に拠点を置く、高級紙器、Vカットボックス、貼り箱、紙重箱のメーカーです。
Q:御社の経営理念は
A:紙器をもっと自由に。「品質と品格」を追求し、「伝統と革新」を両立し、これからの時代にむけて新たなものを生み出し続ける。
Q:アピールしたいことは
A:高級商品向けのパッケージの需要が多いので、それに応じた高品質のパッケージ製作を心がけています。
Q:興味をひかれたお客さまにひと言
A:長年培ってきた技術と経験を基盤に、お客さまの期待に応える製品を届けることを誇りとしています。
今回の新しい装置の導入は、自社の強みをさらに高める結果になったと感じています。これから、高級感とデザイン性が高く、汎用性がある貼り箱(Vボックス)の製造に新しい装置の導入も検討していきたいと考えています。
今後も小ロット、多品種、短納期など顧客のニーズにできる限り応え、顧客満足度をさらに上げていきたいです。売り上げ拡大や顧客増につなげ、新たな雇用を創出できるように、高品質で高級感あるパッケージ製造に情熱を注いでいきたいと思います。
今日では環境に配慮した脱プラスチックの動きも広がっています。だからこそもっと「紙」をアピールしていきたいですね。

INFORMATION
株式会社 ジェイ・テック
代表取締役:濵本 芳行
住 所:佐賀県唐津市浜玉町浜崎2480番地
連絡先:TEL0955-56-8881/FAX0955-56-8886
U R L : 株式会社 ジェイ・テックのwebサイトはこちら
資本金:1,000万円
設 立:昭和42年3月
従業員:60人
平成30年度補正/ものづくり技術・一般型