株式会社中島製作所

再加熱カートのコストダウンに向けた機械加工部品工程の生産性向上

　当社は、設計から板金加工、機械加工、プレス加工、さらに組立加工までワンストップで加工できる設備を擁し、取引先の様々な要望に迅速に応えられる金属加工の会社です。単に部品加工や機械組立にとどまらず、製品の企画・開発・設計から試作・量産立上げまでを社内で一貫して対応できるのは、こうしたバックボーンがあるからです。多品種少量生産、短納期へのニーズはもちろん、他社では敬遠されるような特殊用途へのオーダーにもお応えできます。近年では、独自開発の製品「医療介護施設向け再加熱カート（製品名：ミールシャトルⅡ）」の開発にも成功し、事業分野を拡大しています。

代表取締役社長　中島弘喜

本事業への取り組みの経緯

　当社では、下請け企業からメーカー企業への転身を目指し、「医療介護施設向け再加熱カート」を開発。同製品は、業界初のマイクロ波加熱（電子レンジ）方式を採用しており、IH方式や熱風方式と違って食材の中心から温めることができます。また、異なる3品の食事をトレーにセットし、それぞれの食事に対して個別に温度設定ができるという特徴も備え、革新性の高い製品です。引き合いが好調である一方で、今後の市場拡大に向けては製造コストの低減が必要です。機械加工部品のコストダウンを目的とした設備導入を行い、IoTやAIといった新技術を有効活用することで、製品価格を抑えて新規市場開拓へ結び付けようと考えました。

実施内容（取り組みの詳細）

　コストダウンへの大きな障壁となっていたのが、工作機械による加工部品のコストで、社内加工部品の加工費の50％を占めています。その課題を解決するために、インテリジェント複合加工機を導入しました。同設備は、旋盤とマシニング加工の機能を併せ持ち、2工程を一台でこなすことで加工精度もアップします。
　自動切り替え機による段取り工程削減と、IoTとAIを組み合わせて機器を監視・制御することで、無人化運転が実現でき、社内加工部品のコストダウンにつながります。

取り組み成果・波及効果

　新設備導入により、技術的課題であった社内加工部品のコストダウンが実現し、かつ工場全体をIoTで管理できる体制が整いました。2工程で加工していたものを、1工程に短縮することで、段取り時間が短縮され、加工品のコスト40万円の削減につながりました。これは計算上、製品価格を10％下げることができる数値です。また、作業時間短縮により、製品全体の製造リードタイムを1台あたり2日（従来から約11％）短縮することができました。現在、新モデルを設計中ですが、設計者と技術情報を共有し、新設備をさらに効果的に活用することで、合計80万円（約20％）の製造コスト削減を進めていきます。
　さらに、稼働状況監視、効率的運用を目的に工場内ネットワークを整備。事務室PCからの遠隔管理、動作ログのエクセルへの書き出しやコマンドレベルでのオペレーション把握などが可能になりました。ビッグデータとして管理・分析することで、工程の改善、稼働率の向上につながります。

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事業所の魅力をさらに深掘り！

Q：御社の強みは？

A：多種多様な設備と、それを有効活用する豊富な経験と蓄積した技術ノウハウ、さらにはフレキシブルで機能的に管理された生産体制です。

Q：導入してよかった点は？

A：「ミールシャトル」の生産数が前年対比20％増になり、売り上げも伸びました。現在、年間約300台を生産しています。

Q：御社が大切にしていることは？

A：大正14年（1925年）の創業から今日まで、大切にしてきたのは、地元に密着した企業活動です。地域の雇用を創出して社会に貢献し、従業員とともに成長することを目指してきました。

今後の展望・活動予定

　社会から必要とされる会社であり続けるために、社会の困り事に当社の加工技術を生かして課題解決していきます。
　自社ブランドの「ミールシャトル」によって、病院食も最適な温度で食べられるようになりましたが、実際の現場では食の安心・安全だけでなく、効率的な提供も求められます。その課題に応えるため、施設の厨房の設計から手掛けようと、現在モデル事業を進めているところです。また、提供する食事自体にも着目し、美味しい食材の提供やレシピ開発に取り組もうと、社内にテストキッチンを設置しました。
　社会の困り事を解決するために、一歩先をいくトータルソリューションに取り組んでいきます。