合同会社田島柑橘園＆加工所

日本一の柑橘ジュース製造にかかる作業工程の効率化

　太良町でみかん農家を営み、約5ヘクタールの農地で約10品種の柑橘を栽培しています。食の安全を考慮し、除草剤を15年以上使用せず、農薬もできる限り使用しない「エコ農業」を実践。スペイン原産の「クレメンティン」を日本で初めて栽培し、平成20年からは柑橘に付加価値をつけたジュース生産（6次産業化）をスタート。平成22年には、日本経済新聞社（日経プラス1）の「夏のお取り寄せジュース部門」で第1位を獲得しました。日本一の効果で、日本初のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」、豪華スイーツ列車「或る列車」の車内ドリンクとしても採用されています。

代表社員　田島彰一

本事業への取り組みの経緯

　柑橘ジュースのサイズは720ｍlの1種類で、キャップはすべて王冠型。手作業で行うキャップの取り付けは効率が悪く、「容器（瓶）のバリエーションを増やして欲しい」、「購入後すぐに飲めるように王冠以外の栓にしてほしい」という販売先からのニーズに応えられませんでした。キャッパー設備を導入すれば作業効率は改善され、様々な種類の瓶にも対応できることから、新規販路の開拓が期待できます。
　同じく手作業で行っていたラベル貼りも、機械装置を導入すれば、ラベル位置の精度が向上するうえに、作業人員を他の作業に回すことができ、製造工程全体の効率化につながります。

実施内容（取り組みの詳細）

　手作業で1本ずつ行っていたキャップの取り付けに、「半自動キャッパー機械」と「王冠用エアー駆動打栓機」を導入しました。

　男女問わず作業可能な「半自動キャッパー機械」は、栓抜き不要の耐熱性のPPキャップに対応し、瓶の形状やサイズのバリエーションも広がりました。以前の王冠取り付けは、力作業のため男性だけしか作業できませんでしたが、「王冠用エアー駆動打栓機」を導入したことで、スムーズで丁寧、そして確実に打栓できるようになりました。1枚ずつ丁寧に手で貼り付けていた商品ラベルは「半自動ラベラー機械」を導入し、効率化を図りました。

取り組み成果・波及効果

　半自動キャッパー設備・新型王冠用エアー駆動打栓機・半自動ラベラー機を導入したことで、作業効率が最大2倍改善し、製造工程全体の効率化が可能となりました。さまざまな瓶の種類に対応できるようになったことから、新規販路の開拓もできるようになりました。
　他社の瓶詰めジュースは、王冠型のキャップが主流であり、PPキャップを使っている商品はほとんどなく、他社との差別化にもつながっています。

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Q：御社の強みは？

A：スペインとの深い交流を生かし、スペイン製のジューサーをベースに、当社仕様のオリジナルジューサーを使用しています。加工部門の売上高は年々増加傾向で、他の農家などから柑橘やそれ以外のジュースの受託製造も増えています。

Q：御社が大切にしていることは？

A：お客様に喜んでいただけるように、ご要望にあわせた一社一様の商品開発にチャレンジし続けることです。（例えば、レモネードのシロップ、シュトーレンに使用するクレメンティンのピールなど）

Q：アピールしたい商品（もの・こと）は？

A：無添加100％の冷凍ジュース「AJIOH（アジオー）」です。細胞を傷めない急速凍結で、みかんを食べるより美味しいジュースが完成しました。

今後の展望・活動予定

　元々持ち合わせている品質・味での競争力に加え、今回の設備投資で多様化する販売先からの要望に対応し、百貨店や大手スーパーへの販路拡大、製造を発注した相手先ブランドで販売される製品を製造するOEMの受託増加を図っていきます。商品バリエーションが増えることで、既存のお客様を飽きさせず、リピーターの増加にもつなげます。
　また、農業所得の増大を通じた農業の持続的な発展を図るため、地域資源を生かした6次産業化などに取り組むことで所得の向上に努めていきます。例えば、ジュース製造で廃棄されていた、香り豊かな柑橘類の皮を活用したアロマ作りの開発をさらに進め、「味と香りの体験」として、一般客やインバウンド向けにジュースの生搾り体験やサングリア体験なども積極的に行っていきます。