株式会社 種商

真空パック雑穀米の製造技術導入による海外輸出事業の拡大

 当社は創業70年をこえる雑穀メーカーです。雑穀の特徴を熟知し、それぞれの栽培方法から炊飯技術に加え、食味に優れた配合技術を持っています。当社の商品は黒米、赤米、もちきび、あわ、きびに発芽玄米など、健康食として知られる「雑穀」を組み合わせたブレンド雑穀商品です。雑穀取扱い品種数では日本最大級を誇り、企画やパッケージデザイン、出荷までを一貫して行い、日本全国のスーパー・小売店・ドラッグストア等で販売しています。2014年にはハラール認証を取得し、世界中に販路を広げています。



代表取締役 諸冨和馬



本事業への取り組みの経緯

 食文化の欧米化により、国内での米離れが深刻化するなか、高品質な日本の米は海外での人気が高く輸出が増加しています。当社も数年前から積極的な海外輸出に取り組んでいますが、海外では米や豆、穀類を真空包装するのが一般的で、従来の脱酸素剤(エージレス)を封入する包装形態に馴染みがありませんでした。また、海外の高温多湿な環境では、雑穀の劣化を早め、食味を落とす原因になるため真空包装が原則です。
 そこで、包装形態を真空パックにする設備投資を行い、輸送コストや製造原価の軽減による低価格化を実現し、商圏の拡大を目指しました。


実施内容(取り組みの詳細)

 以前の包装形態は、一つひとつの商品に手作業で脱酸素剤を投入し、脱気しながらヒートシールと賞味期限を印字し、箱に詰める作業工程を一日中行っていました。従業員への精神的・肉体的負担が大きいうえに、1人あたりの残業が月40時間を超えた月もあり、製造コストがそのまま販売価格の高さに繋がっていました。
 海外ニーズに合わせた真空包装への切り替えと、低価格を実現するために「真空包装機」を導入しました。






取り組み成果・波及効果

 「真空包装機」の導入により、真空包装した商品の厚みが薄くなり、1回当たりの梱包数を60袋から108袋に増やすことができました。これにより、1回あたりの輸送コストが約400円削減。賞味期限も延長(1年→1年半)できました。また、手作業の工程が機械化されたことで、1ヶ月、約500,000円の残業代が削減でき、労働環境も改善されました。
 こういった成果により、主力商品である、国内産十六穀米500gの売価を1,200円から890円に値下げ。自動化する工程の人数が5名から2名(2.5倍)、生産量が1時間あたり300個から1200個(4倍)に増加することから、労働生産性は10倍にアップしました。








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Q:御社の強みは?

A:乳酸菌やコラーゲンといった機能性素材を雑穀米にブレンドできる製造技術力と、原料仕入れから、デザイン、製造、販促までをトータルプロデュースする商品企画力が他社にはない強みです。


Q:新しい取り組みは?

A:冷凍食品製造工場を立ち上げ、おにぎりなどの冷凍米飯を製造しています。高品質なプロトン凍結技術で解凍しても美味しく、さらにはフードロスに寄与した商品開発に励んでいます。


Q:アピールしたい商品(もの・こと)は?

A:世界に通用する安全基準として、米卸・雑穀加工食品メーカーで日本初の全工場でハラール認証を取得しています。


今後の展望・活動予定

 2013年に和食が「ユネスコ無形文化遺産」に登録され、雑穀は「スーパーフード」というカテゴリーに分類。雑穀米は海外でも健康食として販売されています。空前の和食ブームのなか、海外の日本食レストランは、この10年間で5倍の店舗数となり、今後もさらなる増加が見込めます。
 当社の海外商品の売上は、全体の1%に満たない程度ですが、真空包装機を導入したことで5年後には2%(6,000万円)を目標としています。そのためには大きなマーケットが必要で、イスラム圏に新たな市場を創出しようと、全工場でハラール認証を取得しました。
 今後は海外の食文化に合った商品開発を行い、真空包装食品の拡充を図ります。



INFORMATION




株式会社 種商

代表者:諸冨和馬

住 所:佐賀県鳥栖市藤木町若桜3-5

連絡先:TEL0942-83-1311/FAX0942-83-1958

U R L :株式会社 種商のwebサイトはこちら

資本金:1,000万円

設 立:昭和23年10月

従業員:51人

Saga Monodukuri /食料品製造業
平成29年度補正/革新的サービス・一般型

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