株式会社チャイルド佐賀

自動車シートカバー製造における裁断工程を自動化

　私どもは創業以来、婦人下着の製造を続けてきた会社です。平成20年からは自動車用内装品およびアクセサリーの製造に着手し、OEMを中心として事業を展開してきました。婦人下着と自動車用内装品では必要な設備や資材、技術、そしてお客様のご要望も大きく異なります。そのため、商品知識の充実化、多能工の育成、顧客ニーズの把握に注力して参りました。現在では、下着と自動車用内装品製造双方の経験から、薄く柔らかい生地から合皮のような厚手の生地まで幅広く縫製や加工ができる技術と設備を有しています。今回は、自動車用オリジナルシートカバーの製造工程を改善するため、専用の自動裁断機を導入しました。

取締役営業本部長　田中克己

本事業への取り組みの経緯

　グローバル化の進展、ライフスタイルの変化により、自動車業界においても顧客ニーズの多様化が進んでいます。そのような中で工場に求められていることは、日本製ならではの品質の高さ、他社にはない特徴のある製造方法、変種変量生産への対応、生産リードタイム短縮など多岐に渡ります。一方で製造原価費、販売管理費が著しく高騰しており、労働生産性の向上も急務です。コスト見直しを図り、最小限まで抑えられる製造ラインの構築、人材のスキルアップなどが最優先課題となっています。そこで私どもは今後に向けて、製造過程の自動化や省力化、必要な技術の継承を行うためのマニュアル化をめざしてきました。

実施内容（取り組みの詳細）

　もともと自動化設備を保有しておらず手作業だったため、シートカバー１台分の裁断には３～４時間ほど要していました。この状況を打開すべく導入したのが「TC50-4WB-Tテクノカット自動裁断機」です。裁断精度は±0.005mmとほとんど誤差がなく、高い精密性を発揮します。付属の裁断編集ソフトは、CADのデータを裁断に最も効果的なかたちに編集できる機能、そのデータを蓄積できる機能を有しています。また、今回の設備導入にあたり、工場レイアウトの整備、責任者の選出、従業員に操作を習得してもらうためのマニュアル制作も行いました。

取り組み成果・波及効果

　シートカバー１台分の裁断時間は３～４時間から１時間前後へ短縮、１日あたりの裁断数量は２～３台から６～９台まで増加しました。省人化も実現でき、その分の人員を新商品の開発や商品検査といった人為的対応が不可欠な工程に投入できます。正確な裁断が可能となったことで個体差が生まれにくくなり、製品の均一化や品質向上を達成しました。機械化により手裁断では難しい円形裁断やコーナー裁断などに幅広く対応できるようになったため、意匠性の追求による差別化もめざせます。以上のことから、生産リードタイム短縮、生産コスト削減、品質向上、短納期が見込めるようになりました。

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Q：御社について教えてください

A：婦人用下着メーカーとして企画立案から手がけ、お客様のご要望に合わせたOEM/ODM生産を行ってきました。

Q：導入して良かった点は

A：裁断工程の少人数化が実現し、他の業務に人員を投入できるようになったことです。精度も格段に向上しました。

Q：新しく取り組もうとされていることはありますか

A：バスや鉄道業界への進出を始めました。今後も様々な日本の基幹産業への貢献をめざします。

Q：アピールしたい商品（もの・こと）は

A：有名自動車メーカーの純正品を生産している、県内でも数少ない企業であることです。

今後の展望・活動予定

　今後もメイドインジャパンの誇りを持ち、市場や顧客のニーズに合ったデザイン、機能性、安全性を追求して、皆様に信頼を寄せていただけるものづくりに努めます。今回の事業により、意匠性の高い商品の開発や短納期でのサンプル品製作などスピードと品質の両立が可能となりました。それを生かして積極的に新規顧客開拓を進め、国内のみならず中国、韓国、台湾の顧客獲得にもチャレンジする所存です。現在、自動車業界のみならず鉄道業界への進出も進めていますが、そうした日本の基幹産業に関わっていける会社であり続けたいと思っております。