株式会社合瀬製作所

電気自動車製造用ツールのための画像寸法測定器導入検査工数削減により生産性を向上させる

　パナソニック井戸ポンプ部品の大量生産ならびに捕鯨砲の信管・火管の製造工場として創業した当社。時代に合わせて進化と変革を繰り返し、現在はさまざまな加工技術を駆使して電極特殊部品、産業機械設備部品、半導体関連部品などの精密機器部品を幅広く取り扱っております。近年、そのうちの一つである電気自動車製造用のツール製造工程において生産性の課題を抱えていました。
　今回取り組んだのは、従来人の手で行っていた寸法の測定業務を自動化する画像寸法測定器を導入することで作業効率を高め、納期対応力や品質評価の低下を防ぎ、生産性と企業信頼を向上させるための事業です。

代表取締役　合瀬一男

本事業への取り組みの経緯

　自動車業界においては長年省エネルギー化が進められており、現在は温暖化対策などを理由に電気自動車への転換が加速しています。これを背景に、エレクトロニクスによる制御技術や安全運転制御技術がますます進化する様相です。電気自動車製造のためのツールを生産する当社においても、近年さらに厳しく品質を求められるようになっています。これまでは寸法の測定業務を作業者の目視で行ってきましたが、個人差が生じ顧客が求める品質基準を満たせないことが起こっていました。ベテラン社員のみに検査を担当させると品質は保てるものの、検査に手を取られ生産が停止し、全体の稼働率が低下するという課題があったのです。

実施内容（取り組みの詳細）

　測定における課題を解決するため、画像寸法測定器を導入しました。測定物をテーブルに置きスタートボタンを押すと、自動的に測定を行う機器です。測定業務を目視から機械へと切り替えたことで、製品１個当たりの測定時間が5分から2分へと短縮できました。従来の投影機や顕微鏡を用いた方法では円径において2点間の距離を測定していましたが、画像処理による自動測定に変更したことで100点以上の点観測が可能になり、個人差の排除および測定品質の安定化を実現しております。また、この画像寸法測定器は複数一括測定機能も備えており、こちらも測定時間の大幅短縮に寄与しております。

取り組み成果・波及効果

　自動測定検査を実現させたことで、作業者に求められていた測定技術は不要となり、従来の人的ミスや個人間の品質ばらつきを削減できました。効率化に伴って作業者の負荷を軽減でき、高品質・短納期・コスト削減といった顧客の要求に応える生産体制基盤も構築できております。測定業務にかかる時間を短縮できたぶん、作業者は他製品の加工に携われるようになり、全体の稼働率が向上しました。社員が新しい技術の習得に取り組む時間も確保でき、スキルアップを図れる体制が整っております。また、今回の機器導入で多数個一括測定や数カ所の同時測定が可能になったことからも、測定の概念を大きくアップデートできました。

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Q：御社について教えてください

A：精密機械部品、生産設備部品などの受注生産を行っている企業です。

Q：御社が大切にしていることは？

A：創業時から時流に合わせて取り扱う製品や技術は変化してきましたが、徹底した品質管理を大切にする姿勢は変わりません。

Q：御社の社是は？

A：どこまでも緻密に、どこまでも迅速に、お客様の満足のために技術の革新を続けます。

Q：導入してよかった点は？

A：この技術を、測定が困難だった他の製品にも転用できることです。

今後の展望・活動予定

　今後ますます高い精度が要求されるようになり、工程能力が限界に近づくことも予測されます。しかし今回の測定器導入により高い生産性が維持できている状態であれば、現在の抜き取り検査から全数検査に変更し、品質を保証することも可能になると期待しております。また、新たなシステムを活用して社内オンライン化によるデータ管理を推進することで、さらに高度な工程品質保証体制の構築も視野に入ってきました。
　当社は以前から特殊な製品づくりへ積極的に取り組んでおりますが、そのうちの一つである3次元形状の製品にも今回導入した画像測定器を活用し、自動化を図っていきたいとも考えております。