役員

役員定数について(一)

中協法第35条において役員の定数は「理事は3人以上、監事は1人以上」と定められているが、その定数の上限は第何条に規定されているのか?
例えば、ABCDの4法人が協同組合を組織するに当たって理事、監事の定数の上限の決定の方法として、単記式投票によれば組合員1人1票の原則により理事、監事各々最大4人まで選出できることとなるが、連記式投票による場合は組合員総数を上廻る多数の役員を選出することが可能になる。定款にて役員の定数は決定しているので単記、連記いずれを採用しても役員の総数は同一でなければならない。故にその両方の限度内で組合内容に適した方法で選ぶべきであると解釈しているが如何?

中小企業等協同組合の役員の数は、中協法第33条1項第11号の規定により、定款の絶対的必要記載事項として、必ず、何人以上何人以内という定数で定款に定めなければならないことになっているが、その数は、同法第35条第2項に規定する数以上であれば、何人であろうと法令違反にはならない。
役員の定数を定める場合、設問のごとく単記式無記名投票によって選出し得る最大限の数(組合員数)を、その組合の理事及び監事の定数の上限として、その範囲内において、単記式、連記式の何れかを採用すべきであると解して画一的に指導することは無理がある。説例のように組合員数が4人である組合においても、組合の業務運営において組合員数を上廻る役員が必要とされる場合も考えられるので、指導としては当該組合の事業規模、役員の業務分担を考慮し、業務の迅速適格な遂行を妨げることとならないよう、必要かつ最少限度の役員の数を定め、その数を選出するについて、単記式、連記式の何れを採用することが妥当であるか検討されるべきである。(95-103)

役員定数について(二)

中協法第35条第6項に「理事又は監事のうち、その定数の3分の1を超える者が欠けたときは、3箇月以内に補充しなければならない」となっているが、

  1. 定数とは何を指すのか?
  2. 本組合の定款変更案では役員の定数及び選任について「本組合の役員は理事25人以上30人以内、監事3人又は4人とする。」としてあるが、この場合上限の理事30人の3分の1つまり10人まで欠けても補充選挙しなくともよいと解しているが如何?但し25人と下限を決めているのでこの場合は5人まで欠けて25人になっても補充選挙の必要はないか?
    次に監事の場合上限4人の3分の1つまり1人を欠けても補充選挙の必要はないか?
  3. 法定数とは何か?この場合25人と解してよろしいか?
  1. 定数については従前は確定数をもって定めることとしたのであるが、役員の死亡等により欠員を生じた場合に、その都度選出することは、事実上不便を生じることが多く、実態にそぐわない点もあるので「何人以上何人以内」を定数としている。
  2. 役員補充の場合における取扱いについては、中小企業庁では定款に記載した下限を基準とすることにしているので、説例の場合25人の3分の1以上、即ち9人が欠け16人になった場合に補充選挙の必要が生じてくることになる。
    監事の場合も同様に下限の3人の3分の1以上が欠けた場合に補充義務が生ずることになる。
  3. 上述の趣旨から「何人以上何人以内」を法定数といい、説例の場合は「25人以上30人以内」が法定数であって、下限の25人をもって法定数とはいわない。(96-104)

理事定数を減員する場合の方法について

次の役員改選を機に、理事の定数を現在の8名から7名に減員したいと考えていますが、どのような方法で行えばよいでしょうか。

理事の定数を減員する場合には、予め、理事定数の変更に伴う定款変更のための総会(総代会を含む。)を開催し、そこで定款変更の決議を行い、行政庁の認可を受けたのち、役員改選のための総会を開催し、新定数(7名)による理事を選出するという方法がまず考えられます。ただし、この方法によりますと、短期間のうちに2度総会を開催しなければなりませんので、現実の対応が困難な場合も見受けられます。そこで、実務上定款変更決議と役員改選を同一総会において行うことが要請されるわけですが、これには次の2つの方法が考えられます。
1つは、定款変更決議後、ただちに未認可の変更定款(新定款)により新役員を選出するが、その就任については停止条件を付し、全員が定款変更の認可後に就任するという方法です。
2つは、定款変更後、現行(変更前)定款により8名の新役員を選出し、全員ただちに就任するという方法です。ただし、この方法による場合は、定款変更認可後に、定款規定(7名)と現行役員数(8名)との間に相違が生じますので、調整が必要となります。この調整の方法としては、超過する員数の役員に自発的に辞任してもらうか、あるいはその役員の任期に、定款変更の認可日までとする旨の解除条件をつける(つまり、一部役員の任期を制限する)方法が考えられますが、この解除条件は、役員選出前に、定款変更と同じ特別議決によって決議しておく必要があるでしょう。(88-7-2)

一法人から複数の役員を選出することについて

  1. 理事のうち組合員たる一法人の役員から複数の理事を選任できるか?
  2. 組合員たる一法人の役員から理事と監事を選任できるか?
  3. 上記に質疑1,2が合法的な場合被選者1人を除き他は員外役員となるか否か?
  4. 質疑2の合法的な場合でも、
    1. 一法人でも一組合員であるので一組合員から理事と監事が出ることは役員の兼職禁止に抵触するとの意見
    2. 役員の就任は自然人(個人)として就任するので同一法人から出ても兼職とならないとの意見

    どちらが正しいか?
    なお、当組合の実際例については組合員たる一法人の代表取締役を理事に、他の平取締役を監事に選任する状況にある。

  1. 理事は、組合員たる一法人の役員から複数の理事を選任できる。
  2. 組合員たる一法人の役員から理事と監事を選任できる。
  3. 複数の組合役員を選任した場合複数の組合役員は員内である。
  4. iiのとおりである。
    すなわち、役員の就任は自然人として就任するので、同一法人から出ても兼職とはならない。(97-105)

法人から選出される役員数を制限することの可否

法人たる組合員より選出する役員数については、中協法に制限がないが、これを定款により一定の制限を加えることができるか?
制限が可能である場合は、それをどのように規定したらよいか?

組合員が法人である場合、その法人から選出される役員の数を一定数に制限することの可否については、法人組合員から選出される役員の数を一律平等に制限するのであれば差支えないものと考える。
法人組合員から選出される役員の数を一定数内に制限した場合、実際の選挙について定数を超えて選出された者の取扱いをどうするかが問題となる場合があるので、この点定款に明確に規定しておく必要があると考える。
なお、定款への規定の仕方としては、次のような表現が適当であろう。
定款例第30条(役員の選挙)第3項の次に、次の一項を置く。

(4) 前項の規定にかかわらず、投票の結果組合員たる一の法人から定款〇条により定められた定数を超えて組合の役員が選出されることとなる場合は、同条に定められた定数の範囲内で上位得票者のみを当選人とする。

(98-106)

法人役員の組合理事が同一法人の他の役員と組合理事を交替することについて

組合員たる法人の役員が、当該組合の理事に選任されていたところ、法人の経営する業務にたずさわる他の役員に理事を交替する必要が生じたが、何ら手続を経ずしてそのまま理事を交替することができるか?

理事の選任は、中協法第35条の規定により、必ず総会において選挙又は選任しなければならないから、それによらない理事の交替ということは、法律に違反する。理事というものは、組合員たる法人を代表しているのではなく、個人として、組合との委任契約により、公平な立場から組合の業務執行の決定に参画するのである。従って、理事が、組合員たる同一法人の他の役員と交替するということは、理事本来の趣旨からいってもできないことである。(99-107)

役員(理事)と組合との関係について

理事と組合との関係は民法第643条の委任によるものか?

中協法第42条において準用する商法第254条第3項の規定により、組合と役員(理事又は監事)との内部関係は民法上の委任契約に関する一連の規定が適用される。
従って、組合と理事との関係は当然に民法第643条(委任関係の成立)の規定に拠るところになる。(101-113)

理事の自己契約について

中協法第38条(理事の自己契約)について、次の場合理事会の承認を必要とするかどうか?

  1. 法人の代表者として貸出す場合
  2. 第三者の保証人として貸出す場合
  1. 中協法第38条の趣旨は、理事がその地位を利用して組合に損害を与えることを防止することにあることから、理事会の承認が必要であるものと解する。
  2. 理事が第三者のために保証契約を組合と結び、当該第三者に貸出しする場合、保証契約については保証人たる理事は、弁済の能力あることを必要とし(民法第450条第1項第2号)、この要件は、組合が保証人を指名しない限り必要とされている(同条第3項)。
    このように理事と組合との保証契約が組合に不利益となる場合もあり、理事と組合との取引によって組合に損害を与えることを防止しようという中協法第38条の趣旨から、理事会の承認を受けるべきものと解する。 (123-136)

理事の辞任届の効力について

理事が辞任届を提出し、理事会に出席しないとき、その理事は理事会の決定事項について責任を負わなければならないか?

組合と理事との関係は委任関係であり、その委任関係の終了は相手方の承認を必要とせず一方的に終了させることができるので、理事は辞任届をもって理事を辞任したことになる。
しかし、中協法第42条で準用する商法第258条第1項の関係で、辞任により法定数を欠くときは、辞任した理事は、後任者が就任するまでは理事としての権利義務をもつから、ご質問の欠席した場合は、欠席した理事としての責任を負わなければならない。(102-114)

役員の責任とその解除について

  1. 代表理事の行った会議費及び交際費の使途につき、理事会、監事、総会において承認を受けたものが、その後(翌年)使途が組合に不要のものであることが判明した。これにつき、組合は損害賠償の請求ができるかどうか?
  2. 前項の行為は、代表理事の独断的行為であるが、損害賠償の場合は、当該代表理事の責任に止まるか?
    あるいは、理事、監事ともに連帯して賠償の責任があるか?
  3. 上記の行為を行った代表理事が、使途につき捏造した理由を付し弁明すれば、その行為は止むを得ないとすべきか?
  4. 理事、監事の決算書類に関する責任は総会後何年か?
  1. 会議費、交際費の支出は理事長の業務執行に属するもので、あらかじめ理事会で決定されるべき性質のものではなく、代表理事以外の理事については責任がないとする見方があるが、代表理事の業務執行といえども職務に違背する不当な行為については未然にこれを防止し、もって組合の利益をはかるいわば総合監視の義務があるので、理事としてこの任務をけ怠し組合に損害を与えたとするならば、連帯して賠償する責任がある。
    また、監事についても、善管義務を怠り計算書類の不正を看過した場合には、理事と共に連帯して損害賠償しなければならない。
  2. 交際費、会議費の使途について代表理事が捏造した理由を付したか否かに関しては、いわゆる道義上の問題として解決する場合は別として、理事の忠実義務違反に係る損害賠償請求の訴に伴う問題として裁判所が判断するものである。
  3. 理事及び監事の決算関係書類に関する責任は民法の一般原則(第167条第1項)に従い、10年の時効にかかることになっている。
    なお、理事、監事とも総組合員の同意があれば責任の解除ができることとなっている(商法第266条第5項の準用)。(111-126)

役員重任禁止の是非

役員の選挙規約に「4期連続して役員となることはできない」旨定めることは差支えないか?

選挙権の平等の組合原則は、一方被選挙権の平等を意味するものと解される。したがって役員重任禁止の規定は、被選挙権を拘束するものであり不適当と考える。(99-108)

代表理事を総会で選任することについて

総会において理事を選挙する際、代表理事を特定して選挙することができるか?たとえば理事の定数は5名であるが、そのうち1名は代表理事となるので、選挙の際代表1名、代表権のない理事4名として総会で直接選挙したり、あるいは、選挙は普通に5名を選挙するが、最高得票者を代表理事とすることを条件として行うような選挙方法をとってよろしいか?

理事一般については、組合と委任契約を締結するのであるから(中協法第42条において準用する商法第254条第3項)中協法においては、総会で選挙する旨を規定しているが(中協法第35条第3項)、代表理事は、理事会を構成する他の理事との信任関係に立ちながら、理事会で決定された組合の業務の執行を正確に実施するところの組合の代表機関であると解される。
したがって、この趣旨から代表理事は、理事会において選任すべきものとして中協法第42条で商法第261条第1項の規定を準用している。いわば代表理事の選任は理事会の専決事項であるから、これを直接総会で選挙することはできない。(106-120)

協同組合に会長制を設けることの是非

事業協同組合において、過去に理事長の職にあった者のうちから会長を選任し、代表理事の権限の若干を行わせる会長制を設けたいが、これは可能か?

ご照会の会長の身分あるいは職務権限の詳細が不明であるが、そのような会長は対外的には少なくとも表見代表とみなされ、また、一般的には組合の管理面において理事長との権限の分担等が複雑になり内部の統一が損なわれるおそれがある。
したがって、ご照会のような会長制を設けることは、法的には不可能ではないが、運営上好ましくなく、理事又は顧問として協力を得るのが適当である。
しかしながら、中協法においてこれを禁止する規定はないので、会長制を設けることが組合の実体からみて運営上最良の方法であれば、これを設けることも妥当と思料するが、その適否は実体から判断すべきものであるので所轄行政庁とも協議のうえ判断するのが適当と考える。(107-122)

常任理事と表見代表との関係について

定款を改正するに当たり第27条第1項において「理事のうち14人を常任理事」とすることとしているが、常任理事なる呼称は表見代表と見なされるか?

理事長、副理事長、専務理事及び常務理事等一般の社会通念上組合を代表する権限を有するものと認められる名称を付した理事は表見代表理事と認められる(中協法第42条で準用する商法第262条)。常任理事についても同様に代表権ありと認められる名称と解されるので、表見代表と見なされるものと考える。(106-121)

参事と代表権を有しない常勤理事等の職能について

代表権を有しない常勤理事は表見代表権者とみなされても業務の執行はできないものと解するが、一方参事は職員ではあるがその職務の代理権限は裁判上裁判外の広汎に及び、代表権のない常勤理事よりその職能範囲は広いものと解されるが如何。

参事は、組合に代わってその業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をなす権限、すなわち組合の事業全般に関する包括的な「代理権」を有している(中協法第44条第2項、商法第38条第1項)。一方、代表権のない業務担当理事の権限は、理事会の構成員として業務執行の決定などに参画する理事としての一般的権限のほかに、理事会の決議又はそれに基づく業務規則等に定められた業務執行の実行に当たる権限を有する。ただ、その業務執行の内容は、純粋に内部的な組合業務に限られ、少しでも組合外部に対する直接の関係を含む事項については、権限を有しない。
したがって、「職務権限の範囲」は、代表権のない業務担当理事の方が参事より広いが、「業務分担の範囲」という点では参事の方が広いと解する。
ただし、参事は職員の地位であり、その任免は理事会の決定によるので、理事以上の地位ということではない。(125-138)

員外理事の資格について(1)

私どもの協同組合では、組合員の後継者で組織する青年部の役員を組合理事として登用し、役員の若返りと、組合事業の活性化を図りたいと考えております。
青年部の役員は組合員企業の役員になっている者が多いのですが、個人事業者の後継者である者やまだ組合員企業の役員になっていない者もおります。これらの者を役員にすることができるように定款に「員外理事」の規定を設けたいのですが、その際「員外理事」を組合員の後継者である青年部の役員に限定する規定にすることは可能かご教示下さい。

組合法では、員外理事の定数については、第35条第4項により員外理事の組合業務運営の支配を避けるために一定の制限を付しております。しかし、員外理事の資格については、組合法では特に制限規定は設けておりませんので、組合法の趣旨及び公序良俗に反しない限り組合が自主的に定めうるものと解されます。
ご質問のように、員外理事を組合員の後継者に限定することは、組合運営が組合関係者のみの運営となり、法の趣旨に反するものではないので差し支えないと思料します。 組合法で「員外理事」を認めた趣旨は、「正規理事(員内理事)」が自己の企業の事業もあることから、組合の事業運営に専念し得ない恐れがあり、他方員外からも広く人材を起用することが望ましいという点にあります。
員外理事の資格を組合青年部役員である組合員の後継者に限定するのもひとつの方法ですが、組合事業運営に精通した人材を広く外部から起用することも考えてみる必要があると思われます。

員外理事の資格について(2)

この度の役員選挙で、合資会社の有限責任社員であるA氏から理事選挙に立候補したい旨の通知がありました。 A氏は、組合事業にも精通し、他の組合員からも信頼された人物なので理事として積極的活動をお願いしたいところですが、組合員の一部から、A氏に理事となる資格はないのではないかとの意見がありました。その理由は、組合の定款では「員外理事」を認めていない規定になっているので、「法人の役員」でないA氏にはその資格がないから定款違反になるとのことです。どのように解釈すればよいのでしょうかご教示下さい。

組合法でいう「組合員たる法人の役員」とは、その法人において、その業務執行、業務・会計の監査などの権限を持つ者と解されます。つまり、物的会社の取締役・監査役、人的会社の業務執行社員などがこれにあたります。
人的会社である合資会社では、「無限責任社員」が原則として会社の業務執行及び会社代表の権限を有する(商法第151条第76条)のに対し、「有限責任社員」は、経済的には無限責任社員の経営する事業に対して資本的関係においてのみ参与し、その事業より生ずる利益の分配にあずかるにすぎないものであるとされ、業務執行及び会社代表の権限を有しないものとされています(商法第156条)。しかし、実際には合資会社の定款の規定をもって有限責任社員に対内関係における業務執行権を与えるケースがみられ、通説・判例もこれを支持しています。
このようなことから、A氏が組合役員になるには、当該合資会社の定款によって業務執行権を認められた有限責任社員となるか、そうでなければ組合の定款を「員外理事」を認める形に変更することが必要となります。(90-10)

「組合員たる法人の役員」たる地位を喪失した理事の員外理事就任の可否

私どもの協同組合の組合員であるA株式会社の甲代表取締役が組合の理事に就任していたところ、その任期中に、A株式会社が組合員資格事業を廃止したため、組合員資格の喪失により組合を法定脱退しました。この場合、甲氏は理事の資格を失いますか。あるいは、員外理事として引続き理事の資格を有するのですか。理事の取扱いについてご教示下さい。
ちなみに、組合の定款には、「組合員又は組合員たる法人の役員でない者は、理事については2人を超えることができない。」と規定されており、仮に、甲氏が員外理事の資格を有するとなると、現在員外理事として2人就任していますので、定款で定める数を超えてしまうことになります。

はじめに、選挙の当時、組合員又は組合員たる法人の役員であることを前提として就任した理事(以下、「員内理事」という。)が、任期中に、組合員又は組合員たる法人の役員としての地位を失った場合に、理事に地位を当然に失うかどうかについて考えてみましょう。
まず、組合員又は組合員たる法人の役員以外の理事、すなわち員外理事を認めない組合においては、その理事は当然に理事の地位を失うと解すべきですが、員外理事を認める組合の場合については、大別して2つの異なる見解があります。
1つは、員外理事制度は、組合員以外からも幅広く人材を得ることを目的として採用されたものであり、員内理事と員外理事の選出を行う場合の組合員の判断基準はおのずと異なる。したがって、員内理事は、組合員又は組合員たる法人の役員であることを前提として理事の地位を認められていたとみるべきであり、この前提を失ったときは、員外理事を認める組合であっても、当然に理事の地位を失うと解すべきであるとする見解です。
いま1つの見解は、員外理事を認めている組合においては、員内理事は、組合員又は組合員たる法人の役員としての地位を失っても、なお理事としての権利義務を有しており、員外理事としての地位に留まりうるので、当然には理事の地位を失わないとする見解です。
現在、指導上は、後者の解釈がとられています(「定本中小企業等協同組合法詳解」中小企業庁編著、226頁、「法人登記書式精義(増補版)上」法務省民事局第4課編、427頁)。ただし、この場合、員外理事総数が、「理事定数の3分の1を超えてはならない」とする中小企業等協同組合法(以下、「組合法」という。)35条第4項の制限、あるいは、定款所定の制限を超えることはできません。
したがって、次に、この法律又は定款規定に違反する場合が問題になります。
このような場合は、組合が、この違反状態を是正するための何らかの調整措置を構ずべき事態が生じたということであり、超過員数分だけ、任意の者を解任する義務を負うということになります。 解決の方法としては、員外理事となった者を自発的に退任させるか、あるいは、員外理事相互間で協議をして、最も得票数の少ない者、組合との関連度が最も少ない者などを退任させるというような方法が考えられますが、員外理事中のだれも退任しようとしない場合には、最終的には、組合法41条の規定により役員の改選を行うしか方法がないと考えられます。
なお、この場合、特定の理事を法令・定款違反に問うことはできませんので、理事全員について改選請求を行う必要があります。
このようにみると、実務上の処理方法としては、員外理事となった者を自発的に退任させるようにするのが良いでしょう。(92-8)

員外理事の代表理事就任について

事業協同組合において、員外の理事が代表理事になれるか?理事長、専務理事が共に員外である場合はどうか?

員外理事は、組合事業に専念できる者を得るために設けられた制度であることから、代表理事になることは差支えない。しかしながら組合は組合員のための組織であることを考慮すると組合の長は組合員のうちから選任されることが好ましい。
また、理事長、専務理事が共に員外理事であることは一般的には避けるべきであるが、特別の事情でそれが組合運営に却ってプラスとなるのであれば、一概には排除すべきことではないと考える。(105-119)

員外監事について

  1. 役員たる監事は組合員中より選任すべきか?また、組合員外から選任することができるか?
  2. 本組合は定款、規約には明示していないが、これは中協法第34条に基き規約で定めておくべきかどうか?
  1. 事業協同組合の役員たる「監事」の資格は、組合員たると以外の者たるを問わないので員外から選出することができる。
  2. 特に定款、規約等に明示する必要はないが、員外役員を認めない組合にあってはその旨を記載することが適当である。(101-112)

員外役員の定めのない組合が員外役員をおくことの可否

協同組合が員外役員をおく場合、次のいずれをとるべきか?

  1. 員外役員を置く旨定款に定めなくとも、員外役員を置かない旨の規定がなければ、理事の定数の3分の1までは置くことができる。
  2. 員外役員を置く旨定款に定めなければ、員外役員は置けない。

説例については、法律解釈上は、理事の定数のうち3分の2までは必ず組合員又は組合員たる法人の役員であることを充たせば貴見 1.の通りであるが、貴見の 2.の見地を加味して、員外役員をおく場合は、定款には理事の定数の下限の3分の1以内において「何人」と確定数を記載することが員外役員に関する事項を明確にさせるうえから望ましい。(100-111)

役員任期に関する定款変更認可等について

総会において、理事及び監事の任期を1年延長する目的をもって理事及び監事の任期を「2年」とあるのを「3年」にそれぞれ定款の変更を決議(組合員110名、出席者数65名、全員賛成)した場合において、次の各号に該当するときは、適法であるか?

  1. 理事及び監事の任期中(現在2年)に改正した場合、そのまま理事及び監事の任期は延長(更に1年)されると解して差支えないか?
  2. 6月27日に任期満了する理事及び監事が同日本文の定款変更が決議された場合において7月12日に上記定款変更認可申請書の提出があり同日これを認可したときは、理事及び監事の任期が6月27日現在をもって満了し、自然退任すると解し、新たな選挙を必要とするか?
  3. 前号の定款変更認可申請書の提出があった場合において、その定款変更箇所を運営指導として、一定の条件(例えばこの規定は平成〇年6月27日から適用する、と記載した場合等。)を付記させて認可しても差支えないか?

設問1については、定款変更は認可により効力を生ずるため、任期中に認可があれば貴見の通り解しても差し支えない。
設問2については、定款は認可により効力を生ずるため、認可以前に任期が来た理事及び監事は自然退任となり、新役員の選挙を行わなければならない。
設問3については、中協法においては設例のような遡及して効力を発生しようとする意思ないし行為を認可することはできないものと解する。 (103-116)

役員の任期の起算日について

私は、平成5年5月28日に開催された通常総会において理事に選出され、就任しました。組合の定款では任期は「2年」となっています。2年後の任期満了日は、平成7年の5月28日でしょうか、あるいは5月27日でしょうか。

理事などの役員の任期は、中小企業等協同組合法第36条により「3年以内において定款で定める期間」と定められていますが、この役員の任期の起算は、民法の規定に従わなければなりません。民法では、次のように規定されています。

(期間の起算点(2))
「第140条期間ヲ定ムルニ日、週、月又ハ年ヲ以テシタルトキハ期間ノ初日ハ之ヲ算入セス但其期間カ午前零時ヨリ始マルトキハ此限ニ在ラス」


ご質問では、5月28日に就任できる状況(前任者の任期が切れているか、辞任届が提出されている等の状況)にあると思われますので、就任日は、5月28日ですが、起算日は前記の民法第140条の前段により「期間の初日は算入されず」、翌日(29日)から起算されることとなり、2年後の平成7年5月28日が満了日となります。
なお、総会開催日である5月28日に現任者の任期が満了となるため、翌日の29日に就任するような場合は、民法第140条後段により、29日の「午前零時より」任期は始まるので、就任の初日である29日は期間に算入されることとなり、2年後の任期満了日は、平成7年5月28日ということになります。(88年8月1日)

役員任期の延長による現役員の任期について

役員の任期が定款変更により延長された場合に変更時の役員の任期については、変更時の役員は就任時の委任契約に基づくので、新たな任期に拘束されないとの説があるがどうか?

組合と役員との関係は委任契約であるが、定款は組合及び役員を拘束する法規性を有しているから、役員は委任契約よりも定款に拘束され、定款変更による延長された任期に従わなければならないと解する。 (102-115)

全役員辞任の場合の新任者の任期について

役員の全員が任期の中途において辞任したとき、後任者の任期は、前任者の残任期間であるか?それとも新たに任期を起算すべきか?

定款に定められた役員の任期は役員に選任された個々の人に与えられる在任の期間である。従って、残任期間の定めがなければ補欠の役員に対しても定款による任期が与えられる。しかしながら、一般的に全員の役員の任期をそろえるための技術的な方法として残任期間の定めを設けるのが通例となっている。
この場合のように役員の全員が辞任した場合には補欠の役員という概念がなくなるし、また、残任期間の定めにより任期をそろえる必要もないので、残任期間の定めにかかわらず新たに任期を起算できるものと解する。(104-117)

辞任した役員の残任義務について

組合の定款では、理事の定数を「6人以上8人以内」と定めており、当初総会で6人を選出していたが、今回1人の辞任者がでた。
組合では、この辞任者については残任義務があるとの解釈をしていたが、たまたまある弁護士に相談したところ、従来の見解と異にするため、その根拠についてご説明いただきたい。

(弁護士見解)
商法第258条第1項欠員の場合の処置(残任義務)、同法第498条第1項18号では補充義務が規定されており、これらの規定は、法律又は定款所定の取締役の員数の最低限を割った場合のみ適用され、法律又は定款所定の最低員数の取締役が存在している場合は、株主総会において実際上選任されている員数を欠いても適用されない。
しかし、一方においては中小企業協同組合法第35条第6項では、一定の範囲内(下限の1/3を超えない範囲)において補充義務を免除している。
本来、補充義務と残任義務とは表裏一体の関係にあり、一方を免除し一方のみを課すのは妥当とはいえない。また、補充義務だけを免除し、残任義務を課す合理的な理由も考えられない。
以上の理由から今回のケースについては、組合に補充義務もなければ、辞任者について残任義務はないものと判断される。

組合における理事の定数は、組合の規模、事業内容等に応じ組合の業務執行上必要な人数を定款で定めたものであり、常に定数を充たしておくべきものである。
理事の実員数が定款上の定数に不足することは、そのこと自体定款違反の状態であり、この場合当該組合の理事は法に定められた定数の遵守義務規定(中協法第42条で商法第254条の2を準用)の上からも速やかに理事の欠員分を補充する手続きをとらなければならない。
また、中協法が第35条第6項において、商法第498条第1項第18号と異なる補充義務規定を置いているゆえんは、同条第4項において、理事の定数のうち3分の1までは、員外理事とすることが認められたことにかんがみ、員内理事者が3分の1を超えて欠けた場合、員外理事者が員内理事者を上回る場合がでて不都合となることを配慮し、特に3ヶ月以内という期間を限って欠員補充を義務づけた点にあるものと考えられ、同項は決して定数の3分の1を超えた欠員が出るまでの補充義務を免除したものではない。
したがって、設例の場合は定款で定める理事定数(6人)を1人でも欠いた場合は、直ちに該当理事者に残任義務が発生するものというべきで、罰則を伴った補充義務規定がないことを理由にこれを否定すべきものではないと考える。
なお、定款において理事の定数に幅をもたせている場合において、下限の人員を選出すると、今回のような事態も生じやすく、「6人以上8人以内」として理事に2人の余裕をもたせた意味がなくなるので今後は定数の上限を選出するようにされたい。(108-124)

代表理事の資格と残任義務について

甲事業協同組合の代表理事が、任期途中で理事を辞任してしまいました。そこで、次の2点についてお尋ねします。

  1. この場合、その代表理事は、理事としての退任によって代表理事の地位をも失うことになるのでしょうか。
  2. もしそうだとすると、その代表理事の残任義務はどのようになるのでしょうか。
  1. について
    代表理事については、中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。)は、商法規定を準用しており、理事会において理事の中から選任する建前をとっています(商法第261条←組合法第42条)。したがって、代表理事は理事であることを前提としますから、理事の任期満了、辞任、解任などにより理事を退任した場合には、代表理事をも当然に退任することになります。
  2. について
    理事の残任義務についても、組合法では商法規定が準用されており、理事の退任によって理事に欠員(定数割れ)を生じた場合には、任期満了又は辞任による退任者は、後任者が就任するまで引き続き理事としての権利義務を有することになっていますが、代表理事についてもこの規定が準用されています(商法第258条Ⅰ←商法第261条Ⅲ←組合法第42条)。

ご質問の場合に代表理事としての残任義務があるかどうかについては、次の3つのパターンに区分してみる必要があります。
すなわち、

  1. その退任によって、理事・代表理事ともに欠員を生じた場合には、退任者は理事としての残任義務を負うと同時に、代表理事としての残任義務をも負うことになります。
  2. また、その退任によって、理事の定数を欠いても、理事会の選任により代表理事には欠員を生じない場合には、退任者は単に理事としての残任義務を負うにとどまり、代表理事としての残任義務はありません。
  3. では、その退任によって、代表理事の定数を欠いても、理事には欠員を生じない場合はどうでしょうか。一見、代表理事に欠員を生じているので、退任者は代表理事としての残任義務を負うかのようですが、この場合には、退任者は理事としての権利義務者ではないのですから、代表理事の地位が理事の資格を前提とする法の趣旨からして、代表理事としての残任義務はないとされています。(88-7-1)

役員の残任義務及び役員報酬の支給について

副理事長を1名から2名に増員し、専務理事1名を減員した定款変更を総会で決議した場合、役員の残任義務及び役員報酬の支給は次の例ではどう扱うべきか?


(例示)
(1) 定款変更決議の総会開催日平成3年5月18日
同上総会では任期満了(3年4月30日)に伴う理事の選挙を行い、専務理事であった者が落選した。
(2) 理事長、副理事長(増員1名を含む)2名の選出の理事会開催日
平成3年5月22日
(3) 定款変更認可申請日平成3年7月22日
(4) 定款変更認可日平成3年7月30日

以上の場合

  1. 従来専務理事であった者の残任期間は何月何日か?また、専務理事への役員報酬は何月分まで支給すべきか?
  2. 増員1名の副理事長の役員報酬は何月分より支給すべきか?


専務理事の残任期間は、新たな役員が選任された5月18日までとなる。また、役員報酬は、本来総会で選任された役員についての報酬であるべきであるが、税法上役員報酬は、相談役、顧問等実質的に経営に従事しているものを含むとされていることから、残任義務期間の役員は、法律上の役員ではないが、役員と同等な権利義務を有し、実質的にも組合の経営に従事しているので役員報酬の支給対象となる。
したがって、設問の専務理事の役員報酬は、4月1日(事業年度が4月1日に開始の場合)から5月18日までの期間の間で役員報酬規程等に照らし、新事業年度の役員報酬の予算の枠内で支給して差支えない。
次に増員された副理事長の役員報酬は、定款変更が効力を発生する認可日である7月30日から支給することになるが、選任日である5月22日以後認可日まで副理事長の職務と実質的に同内容の職務を行い、経営に従事しているのであれば、役員報酬枠を総会で決議する場合、予めその旨の承認を受けることにより、役員報酬規程等に照らし、副理事長としての報酬額を支給することは可能であり、当該支給額についても税法上役員報酬として認められる。(110-125)

役員報酬の請求権について

役員としての報酬を受けていた某組合の専務理事が在職中にもかかわらず、理事会と意見の対立が原因で、その支払を停止されたが、この理事は不払部分について組合に請求できるか?
請求できるとして、組合がその支払いを拒んだ場合はどうしたら良いか?

組合と理事とは委任関係にあるから、委任者である組合(執行機関たる代表者に該当)と受任者である当該理事との間に報酬支払の特約があれば、その契約が解除されていない限り、中協法第42条において準用する商法第254条第3項で準用する民法第648条の規定により、当該理事は組合に対し報酬支払の請求権をもつ。
また、組合がこれに対して支払を拒む場合は、民事訴訟手続により90万円を超えない請求であれば簡易裁判所、これを超える場合は地方裁判所に、それぞれ「役員報酬請求の訴え」を提起することとなる。(124-137)

決算関係書類の監査を監事が拒んだ場合の処理

決算関係書類の監査を監事が拒んだ場合監査意見書なしで総会の承認を得ることは可能か?これについて、次のように解釈するが差支えないか?


(解釈)
監事を改選のうえ、あらためて監査を行い意見書を付して承認を得るべきである。


貴見のとおりである。(114-129)

決算関係書類に添付する監事の監査意見書について

通常総会で決算関係書類(事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案)の承認を求めるに際し、理事は監事の意見書を添えて総会に提出しなければならないことになっております。監事に次のようなことがある場合、どのように処置したらよいでしょうか。

  1. 監事が複数人いる場合、決算関係書類に添付する監査意見書の監事の意見は必ず一致しなければなりませんか。組合の決算書をみると、一通の意見書を監事が連名で出している例が多く見受けられます。
  2. 監事全員が監査意見書の提出を拒んだ場合に、監事の監査意見書がないまま総会を開催し、決算関係書類の承認を受けることはできますか。
    また、監事の定数が1名の場合、その監事が病気等で、監査をしてもらえないときはどうでしょうか。

監事は、会計監査を通じて理事の業務執行を監督する立場にある機関です。監事には会計帳簿及び書類の閲覧、会計に関する報告徴収、組合の業務及び財産の状況を調査する権限が与えられており、それらの権限に基づいて、監事は各々が独立して監査業務全般を行います。

  1. 複数の監事がいる場合、監査結果について監事すべての意見が常に一致するとは限りませんし、その必要性もありません。たとえ監事が複数存在するとしても、監事は合議機関ではなく、各監事はそれぞれが独立して監査業務全般を行うものであるからです。
    重要な部分について監事間に意見の相違がある場合に、その点を監査意見書で明らかにすることは、各監事の責任を明確にするばかりでなく、組合員に対して問題点について注意を促すという意味においても意義があります。
    前述のように、監事は各々が独立して監査業務全般を行いますから、監査意見書は、各監事が各別に作成すべきものです。
    組合では通常、複数の監事が共同して監査を行い、連名で同一文言の監査意見書を作成することが多いと思われます。しかし、法律的には、監事の合議によって一個の監査意見書が作成された訳ではなく、同一内容の複数の監査意見書が作成されたものと解されます。各自の意見書の内容が同一であるので形式を連名にしたにすぎないのです。
  2. 理事は、監事の意見書を添えて決算関係書類を通常総会に提出しなければなりません。しかし、監事が意見書の提出を拒んだ場合は、これを強制的に履行させる方法はありません。また、監事の監査がない状態で決算関係書類を承認する総会の決議がなされた場合は、その決議は取消原因を有することになるものと解されます。
    監事全員が意見書の提出を拒んだ場合は、監事を解任し、新たな監事を選任したうえで、新しい監事の監査を経て再度総会を開催しなければなりません。監査意見書の提出を拒む監事の行為は、法令・定款違反(任務懈怠)に当たります。
    監事の定数が1人であり、その監事が病気等で執務不能になった場合は、監査を行うものが1人もいなくなります。他に監査を行う監事が必要になりますが、定款に定める監事の定数の欠員ではないので、そのままの状態で新たに監事を選任することもできません。
    この場合はその監事に辞任してもらうか、辞任に応じてもらえなければ解任の手続きをとって退任させ、総会を開いて新たに監事を選任して、後任監事の監査を待って改めて通常総会を開くほかありません。(90-6)

理事の兼職禁止規定の解釈について

中協法第37条第2項の理事の兼職禁止規定は、非常に理解し難い複雑な規定であるので例をあげて説明願いたい。

本規定の趣旨から説明すると、理事は理事会を構成して組合の業務の執行を決定し、あるいは代表理事となって決定された業務を現実に執行しなければならない等組合運営の首脳部たる地位にあるので、組合事業の経営、その他の組合運営に関し機密に属する事項等も詳細に知っているわけであるが、理事自体が組合事業または組合員資格事業と実質的に競争関係にある事業を行っているとき(法人であるときは、その役員たる地位にあるとき)は、組合の業務運営を不利におとしいれることになり、組合の正常な発展を妨げたり、あるいは組合員に不利益をもたらすおそれがあるので、これを防止するために一定の競合関係にたつ者は、組合の理事となることを禁止したのである。
例をあげて第37条第2項の規定を説明すれば、

  1. いま織物製造業者を組合員資格とする組合があり、その組合の共同施設として染色整理業及び原糸の共同購入事業を行っている場合を仮定する。
    この組合の原糸の共同購入事業を利用するために組合員となっているが、織物製造業を営みながら染色整理事業をも兼業して行ったとすれば、その者は組合員ではあるけれど理事への就任が禁止される。すなわち、組合の行う染色整理事業と例示した組合員の行う染色整理事業とは完全に競合するからである。
    なお、上記組合員が、組合員となっていない員外者である場合でも、同様の趣旨から員外理事として就任することを禁止される。
  2. もし、この組合が織物製造業者と染色整理業者の両方を組合員資格として定款に定めていたとすれば、組合が染色整理の共同事業を行っていたとしても、例示した組合員の行う染色整理業は「組合員の資格として定款に定められる事業以外のもの」でなくなるので理事への就任が可能となる。
    なお、この場合に例示した者が員外者であるときは、第2号によって判断される。

以上が第1号の説明であるが、第2号は員外理事のみに適用される規定である。
理事になろうとする者が員外者である場合、1.の場合であれば、織物製造業を行う者は、大企業である限り、この組合の員外理事に就任することが禁止される。
2.の場合であれば織物製造業を行う者も染色整理業を行う者も、大企業である限りこの組合の員外理事に就任することは禁止される。中小企業者であれば就任が禁止されないのは、たとえ員外者であっても組合員と同様の状態にあるものと考えてよいからである。なお「実質的に競争関係にある事業」とは、製造業と販売業あるいは卸売業と小売業のように縦の系列関係をいうのではなく、取扱商品が代替関係にある場合、たとえば綿スフ織物と絹人絹織物あるいは布レインコートとビニールレインコート等を指すものと解している。(115-132)

役員の使用人兼職について

監事は理事又は使用人と兼ねてはならない事は明示されているが組合が使用する職員は理事となる事が出来るか否か、若し差支えないとすれば、理事を職員として採用しても構わない事と解釈されるが職員の理事兼職について明示願いたい。
職員で選任された理事が一職員として引続き同一勤務に服する事が出来たとすれば身分は常勤理事であるが、一職員として取扱いをするものであるか?

中協法第37条第1項において禁止しているのは、次の場合、即ち、(1)理事と監事、(2)監事と使用人(職員を含む)である。監事は会計監査を通じて理事を監督する立場にあるもので、当然に両者の兼職は禁止される。本条の結果、理事と使用人の兼職は差支えないわけで、専ら専務に当たる理事が何々部長というような資格で事務担当者となる事は、従来もよく行われているところであり、これによって弊害のおこる事もないので禁止されない。
選任された理事が、引き続き職員としての事務に勤務する場合、その職務は職員としての事務を担当する事となるが、通常の場合常勤理事である。(114-131)

理事長の使用人の兼職

私どもの組合では、総会から1ヶ月後、事務局長が急死しました。小さな組合なので後任の適任者も見つからず、理事長が事務局長の職務を兼務して、とりあえず今年度はこの体制で組合の運営を乗り切っていこうと思います。決して財政上余裕のある組合ではありませんが、事務局長に払うべく予算に計上してあった給与について理事長に支給して差し支えありませんか。

役員と使用人の兼職については中小企業等協同組合法第37条第1項では理事と監事、監事と使用人の兼職のみ禁じています。理事については別段の定めがないので兼務は差し支えなく、実際協同組合では、専務理事または常務理事が事務局長を兼務している事例は多いと思われます。しかし、ご質問のような理事長が兼務することの是非については、理事長は業務執行の権限を有しているわけですから、たとえ末端の業務にしろ理事長としての業務執行に当然包含されると考えるべきで、使用人である事務局長を兼務するということ自体無意味と思われます。
更に判例に「総会の議決により代表理事の報酬限度額を定めた場合には、代表理事が当該組合の事務分掌上は使用人に相当すべき事務に従事したときであっても、特段の事情のない限り、組合が総会で議決した限度額を超えて代表理事に報酬を支払うことは、その支払の名目を問わず、許されない。」(昭和55年最高裁)とありますので、既に総会も終わっていますから故事務局長分の給与の支給もできないと考えます。
なお参考ですが使用人を兼務する役員の使用人として受ける給与について税法上は肩書・代表権のない理事が職制上使用人としての地位を有している場合以外は損金への算入を認めていません(法人税法第35条)。また総会の場においてもこのような給与分については役員報酬額に含まれない旨明示して決議しておくのがよいでしょう。(88-9-1)

理事の参事兼職について

理事は参事を兼職することができるか?

監事は使用人と兼ねてはならないことになっているが(中協法第37条)理事については別段の定めがないので兼務は差支えない。ただし実際問題としては理事が参事を兼ねる必要性は乏しく、その理事を代表理事とするか、専務又は常務理事とすれば足りると考える。(114-130)

顧問・相談役・参与について

私どもの組合では、今般の通常総会で、設立以来長年当組合の発展に貢献してきた代表理事が交替し、理事としての職務も退くこととなりました。理事会では、その功績をたたえるとともに、組合の役員ではないにしても、組合が必要とする時は、何時でも助言等を求めることのできる地位に置きたいと考えております。中小企業等協同組合法では「顧問」を置くことができることとなっていますが、前理事長を顧問に委嘱することは可能でしょうか。また、相談役・参与なども設けたいのですがいかがでしょうか。

長年、組合の業務執行に携わっていた者が、組合の役員たる地位をはずれたからといって、その後、組合がその豊富な経験、知識等を活かした助言等を求めることができないということはありませんが、いつでも遠慮なく助言等を求めるためには、何らかの役職に委嘱しておくことも得策であると考えます。
中小企業等協同組合法第43条では、「組合は、理事会の決議により、学識経験のある者を顧問とし、常時組合の重要事項に関し助言を求めることができる。但し、顧問は、組合を代表することはできない。」(89-5-2)

役員のリコールの手続き

私どもの組合は20年余りの歴史を有しているのですが、現執行部は組合活動に情熱がなく、運営についても不公平、不明朗な点が多いように感じています。このままでは組合の発展はおろか、最近の経済情勢から取り残されるのではないかと危惧されます。現役員の任期は2年余もあることから、この際役員改選の請求を起こしたいと思います。これについての手続きについてお教え下さい。

少数組合員の権利として中小企業等協同組合法第41条では、役員の改選請求と手続きについて定めています。まず役員改選の請求をする人は、改選の理由を記載した書面に総組合員の5分の1以上を連署したものを理事に提出することになっています。そしてこの請求は、理事全員又は監事全員について同時にしなければなりませんが、法令又は定款若しくは規約の違反を理由として改選を請求するときは、理事、監事それぞれ全員でなくても、その一部の人達だけに対してでもよいことになっています。この役員改選の請求があったときは、理事長は理事会に諮ったうえ、請求のあった日から20日以内に臨時総会を開催しなくてはいけません。つまり改選の請求のあった日から10日以内に総会の招集の手続きをする必要があります。もしこの手続きがなされなかった場合には、法はその請求をした人が行政庁の承認を得て自ら総会招集の手続きができる旨を認めています。そして、この臨時総会の場で役員改選の是非が問われるわけですが、これは通常の議決と同様に出席者の過半数の同意があると役員は解任されます。ここで注意しなければならないのは、理事は改選請求に係わる役員に対し、総会の日から7日前までに既出の改選の理由を記載した書面を送り、総会において弁明する機会を与えねばなりません。これを怠ると罰則の規定が適用されます。
もちろん役員改選の議案が否決されたときは当該役員は引き続いてその職務を従来通り行えます。これに不服がある場合、その旨を行政庁に申し出る別の途が開かれています(中小企業等協同組合法第104条)。しかし役員改選請求については、組合員数が少ない組合の場合には極めて少数の組合員の意思で成立するので、みだりに行使すべきでないでしょう。(88-9-2)

役員に係る諸変更(手続き)について

私どもの組合では、本年度の通常総会で役員が改選され、新役員が選任されました。(理事10名、監事2名。)監事は前任者が再任されましたが、理事については、半数が新たに選任され、就任しました。
また、再任した理事のなかには住所を変更した者もおります。役員が変更した場合、行政庁に役員変更届を提出することとなっていますが、その方法等についてご教示下さい。

役員に変更があった場合、中小企業等協同組合法第35条の2では「組合は、役員の氏名又は住所に変更があったときは、その変更の日から2週間以内に、行政庁にその旨を届け出なければならない。」とされております。
役員の変更とは、役員の氏名又は住所の変更があった場合、役員の改選又は補充があった場合、代表理事の交替、役付理事の交替、役員が死亡又は辞任をした場合など役員に関して変更があった場合の一切をいいます。したがって、貴組合にあっても当然、役員の変更届を組合を所管する行政庁に提出しなければなりません。
変更の届出には、中小企業等協同組合法施行規則第3条(商工組合等にあっては、中小企業団体の組織に関する法律施行規則第1条の8)に規定されている様式による届出書に次の書類を添付して提出することとなります。

  1. 変更した事項を記載した書面
    変更前と変更後の役員の氏名、住所、組合役員の役職、員内員外の別等を対照表にして記載。
  2. 変更年月日及びその理由を記載した書面
    例えば本質問においての変更理由例として「任期満了に伴う役員の改選が行われたため」「○○理由の住所移転のため」等と記載すればよいでしょう。
  3. 役員の変更が役員の選挙又は選任によった場合は、総会又は総代会の議事録と理事会の議事録(謄本でよい)。

なお、役員の改選によって、全役員が再任した場合、あるいは、特定の役員の住所等の変更であっても、全役員の氏名、住所等を記載した 1.の書類は必要です。(89-5-1)

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