組合員

員外者の出資について

中協法には員外者が出資してはいけないという禁止規定はないが絶対にいけないものか?その根拠を何処に求めるべきか?

組合員は一口以上の出資を有しなければならないということは、中協法第10条に規定するところであり、その出資額を限度として責任を負うものであることも同条第4項に規定するところである。
さらに協同組合とは組合員が相互扶助の精神に基づき協同して事業を行うため組織されたものであるから、これらを総合して考えるならば、組合は組合員のためのものであり、員外者が出資するということはあり得ない。
なお、員外者の組合事業の利用については、中協法では准組合員制度を認めていないので、中協法第9条の2第3項の員外利用制限が適用される。 (47-49)

組合の債務に対する組合員の責任について

1.組合の借入金、買掛金等の対外債務に対する組合員の負うべき責任の限度については中協法第10条の出資金を限度とする有限責任は絶対的なものであるか?
例えば、総会において、各自の出資金以上の金額を負担すべきことを決議した場合、あるいは、組合員の或特定の者を指名して負担せしめることを決議した場合等、この決議は有効であるか?


2.上記に関して貸付金、売掛金等の未回収のため、借入金等の返済不能を生じた場合、責任は誰が負い債権の追及は何処まで及ぶか?

3.赤字累積による清算の場合はどうか?


1.組合がその事業の遂行上、第三者と取引をし、借入金、買掛金等の債務を負い、かつ、その弁済が不能となった場合において、組合員が負うべき責任は、その出資額を限度とし、総会その他の決議をもってしても、これを超える責任を負わせることはできないものと解する(中協法第10条第4項)。
なお、組合が借り入れた資金を組合員に貸付けた場合、組合が共同購買した物品を組合員に販売した場合等において生じた組合と組合員間の債権債務関係については、出資とは関係なく、組合に対して債務を負っている組合員は、弁済の責に任じなければならない。また、組合の第三者に対する債務について全部又は一部の組合員が組合のために連帯して保証をしている場合(いわゆる連帯保証)に、その保証をした組合員は、個人的に無限に責任を負うことになる。

2.従って、設問のごとく、組合員に対して出資額以上の責任を負わせること、組合の債務につき、特定の組合員を指名して弁済の責に任じさせること等を総会において決議し、決議なる故をもって負担させることは、法令違反であるから無効である。

3.組合財産をもって債務を完済するに足りない場合において、解散をし、又は破産の宣告を受けたときも、組合員の責任は、上述の組合と同様である。
なお、本件の如き事例も、総会の決議である旨をもって組合員に限度額以上の出きんを強制することはできないが、自主的意思によって負担しようとすることを阻止するものではない。(47-50)

行方不明組合員の出資金整理について

組合員Aは、昭和○○年1月30日に組合に加入し、平成×年12月30日まで組合を利用していたが、その後行方不明となった。組合としては、Aの出資を整理し実質上の組合員の出資のみとしたいが、どのような処理が適当か?なお、Aの組合に対する負債はない。

出資を整理するには、当該組合員が組合を脱退することが前提となり、ご照会の場合の行方不明組合員については資格喪失による脱退か、または除名による強制脱退が考えられる。
具体的事情が不明で判断し兼ねる点があるが、もし行方不明と同時に事業を廃止しているのであれば、資格喪失として処理することが可能と解する。この場合、組合員たる資格が喪失したことを理事会において確認した旨を議事録にとどめると同時に、内容証明郵便をもって持分払戻請求権の発生した旨の通知を行うことが適当と考える。除名は総会の決議を要しこの場合除名しようとする組合員に対する通知、弁明の機会の賦与等の手続が必要であるが、組合員に対する通知は組合員の届出住所にすれば足り、この通知は通常到達すべきであったときに到達したものとみなされるから一応通知はなされたものと解される。
弁明の機会の賦与については、その組合員が総会に出席せず弁明を行わない場合は、その組合員は弁明の権利を放棄したものとみなされ、除名決議の効力を妨げるものではないと解される。
なお、除名が確定した場合は、資格喪失の場合と同様の通知をするのが適当である。
以上の手続きにより、当該組合員に持分払戻請求権が発生するが、その請求権は2年間で時効により消滅するので、時効まで未払持分として処理し、時効成立をまってこれを雑収入又は債務免除益に振替えるのが適当と考える。(54-56)

設立後の現物出資の受け入れについて

当組合は、規模の利益を実現するために2年前に設立された事業協同組合です。組合事業としては大型機械を導入し、組合員の取り扱うA製品の共同加工を行っています。組合員の取扱量が年々増加し、機械設備の増設を検討していたところ、同業のB社から自社の所有する加工機械一式を現物出資することにより、加入したい旨の申し出がありました。B社の所有する加工機械は業界内でも最新鋭の機械であり、組合としては、B社の所有する設備を受け入れるメリットは充分あり、同社の申し出を承諾したいと考えています。当組合は、設立の段階で各組合員からの現物出資を認めておりましたが、設立後においても現物出資ができるのでしょうか。

現物出資については、中小企業等協同組合法第29条第3項に次のように規定されています。 「現物出資者は、第1回の払込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。」本項は、組合員の立場からみた出資の第1回であるとかんがえられますので、設立後、新たに組合員が加入する場合であっても、現物出資は可能であると考えます。
ただし、設立後において現物出資を受け入れる場合は、仮に貴組合のように定款に現物出資が可能である旨の規定がある場合であっても、「氏名、出資財産名、価格、与える出資口数」の記載(中小企業等協同組合法第33条第3項)の追加が必要であり、これは定款の変更に該当しますので総会における定款変更の議決と行政庁の定款変更の認可が必要となると考えます。
したがって、B社の加入申込みは、通常の加入の承諾と異なり、理事会の承諾に加え、事実上、総会での議決が必要となることになります。 (90-2-2)

組合員の出資口数に係る限度の特例について

私どもの事業協同組合は、現在、事業拡張のための増資を計画していますが、組合員の大半が小規模な事業者であるため負担能力の問題があり、今回は理事長企業をはじめ一部の有力な組合員の割当比率を高目に設定しています。ところが、この割当て案でいきますと、増資後の理事長企業の出資比率が全体の30%を占めることとなり、25%の法定限度を超えてしまいます。昭和59年の中小企業等協同組合法(以下「組合法」という。)の改正で、組合員の出資口数に係る限度の特例が設けられたと聞きましたが、今回のような場合でもこの特例の適用が受けられるのでしょうか

組合法は、組合員の平等を実質的なものとし、組合の民主性を確保するため、1組合員の出資口数を、事業協同組合にあっては、原則として出資総口数の25%以内に制限しています。これは、少数の者に出資が偏ると、実際の組合運営が多額出資者の意図する方向に傾き、議決権及び選挙権の平等が事実上崩される恐れがあるからです。
ただし、この出資口数の制限については、ご指摘のとおり、昭和59年の組合法の改正により特例が設けられています。
この特例は、組合財産の維持の見地から、特定の場合に限って、組合員は例外として出資総口数の35%まで持つことが認められるというもので、この特例が認められるのは、次の4つの場合に限られています。

  1. 組合員が自由脱退しようとする場合で、他の組合員がその持分の全部又は一部を譲り受ける場合
  2. 法人たる組合員同志が新設合併した結果、新たに成立した法人が消滅した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受けて、新たに組合員として加入してくる場合
  3. 法人である組合員が法人である組合員を吸収合併した結果、存続する組合員が消滅した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を合併後1年以内に引き受ける場合
  4. 合併以外の事由により法定脱退した組合員の出資口数の全部又は一部に相当する分の出資を、他の組合員がその組合員の脱退後1年以内に引き受ける場合

要するに、出資口数の限度に係る特例の適用は、組合員の脱退や合併といったやむを得ない事情により減少した組合財産を補う場合に限られており、したがって貴組合のような増資のケースには、この特例の適用は認められておりません。これは、組合財産の維持・充実という観点からは、負担能力のある組合員に応分の出資を引き受けてもらうことが望ましいものの、特例の範囲をあまり広く認めると、組合員の平等性の実質的な維持が難しくなることが懸念されるからにほかなりません。(89-7-1)

出資1口の金額の増額手続き

私どもの組合では、組合の行う共同事業の拡大のため出資1口の金額を引き上げたいと思っております。これについての手続きについてお教え下さい。

出資1口の金額は、定款の絶対的記載事項ですから、その金額を変更するには、定款変更の手続きを必要とすることは言うまでもありません。
まず第1に、各組合員が追出資義務を伴うことになる出資1口の金額の変更を行う場合は、組合員の責任は組合に対する出資額を限度とする(中小企業等協同組合法第10条第5項)ことから、組合員全員の同意がなければ有効に定款変更できないものと解されます。
次に、出資1口の金額を増加する方法として併合による方法(以前の5口分を1口にまとめる方法など)があります。併合による方法の場合、組合員の出資口数に端数が生じないときは、総会の特別議決で出資口数の併合の方法による旨を定めて定款を変更することができます。しかし、出資口数を併合したときに出資口数に端数が生じる組合員があるときは、端数の出資口数をもっている組合員に追出資を強制することになりますから、出資1口の金額の変更についてその組合員の同意を得なければならないと解されます。
以上の方法によって、出資1口の金額を変更した場合は、次いで定款変更について行政庁の認可を受けることが必要です。認可を受けたときから効力が生じます。
また、定款変更の認可の告知があった日から、主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内にその旨の変更登記を行って下さい。 (88-11-1)

出資1口の金額の増資分を納入しない組合員の権利

私どもの組合では、先般の総会で全組合員出席のもと組合定款中の「出資1口の金額は、1万円とする。」とあるのを、「出資1口の金額は、10万円とする。」と満場一致で変更の決議を致しました。また、組合定款上全額一時払込み制をとっているため、増額分の払込みの期日についても決議しました。しかし、払込みの期限後未だ増額分を納入しない組合員がおります。その組合員は、組合員としての権利を行使できるのでしょうかまた、組合としてその組合員にはどのように対処すべきですか。

組合定款を変更して出資1口の金額を増額するにあたって増額分の追出資が必要となった組合員は、増額分の出資払込み義務を負うことになります。
また、組合定款には全額一時払込みと規定してあることから、払込み期間内に増額分を払い込まない組合員は、組合に対しての履行遅滞になりますが、組合員たる地位を失うものではないと解されます。したがって、未払込みの者も組合員としての権利(議決権、選挙権、共同事業利用権及びその他の組合員権)を行使することは何等妨げられないと解されます。
増資分未払込みの者に対する措置としては、組合に対する出資払込み義務を怠った組合員ということで除名(中小企業等協同組合法第19条第2項2)する方法があります。この方法は、総会における特別議決によらなければなりません。しかも組合は、事前に除名しようとする者に対して除名理由及び総会において弁明すべき旨の通知をすることを要します。
もうひとつの措置として、組合との契約上の自治的規制として、定款に定めれば過怠金、延滞金等をその組合員に課することができます。
組合としては、既存組合員の地位を喪失しないような方法をとることが望ましいと考えます。 (88-11-2)

総会における増資決議の効力について

組合の自己資本充実を図るため、今後5年間配当金を出資金に振り当てるべく積立てることを総会において決議した。この決議は、以後においても効力を有し、本件については以後の各年度には総会の決議を要せず、以後5年間の配当金は自動的に組合の積立金となるものと考えてよろしいか?

ご照会の総会の決議は今後一定期間の組合の方針あるいは計画を議決した程度にとどまると思われ、その範囲において全組合員を拘束するものと考えられる。しかし、実際の出資金充当のための積立てに当っては各組合員は必ずしもこれに拘束されるというものではない。
すなわち、組合員の責任は、その出資額を限度とするものであり(中協法第10条第4項)、増資の引受けについても、たとえ総会の決議をもってしても組合員を強制することはできないからである。 したがって、以後の処置としては、各年度に組合員の承諾を得る必要はないが、当初において各組合員別に承諾を得ることが必要である。(48-51)

組合出資の差押えについて

債権者である「組合員A」の申請により、裁判所より、組合に対して、債務者たる「組合員B」の組合出資金について「債権差押え並びに転付命令」が発せられた。この事態に際し次の点をご教示願いたい。

  1. 組合員の持分と組合員資格はどうなるか?
  2. 差押えた持分又は出資証券が競売される事態に当該組合員が脱退若しくは譲渡を認めない場合。
  3. 前項において、当該組合員が譲渡を認めた場合、組合がそれを承認しないとき。
  1. 債務者Bの組合員資格は喪失するものでなく、ただ組合よりの配当金取得ができなくなるだけであり、組合員Bの持分が変わるものではない。したがって、組合員Bが脱退し、持分払戻しのできる事態にならない限り転付命令が発せられることには疑問がある。
  2. 組合員が脱退又は譲渡を認めない限り、債権者たる組合員AはBの出資あるいは持分を取得又は承継することはできない。なお、ご質問の競売については、組合の出資証券は有価証券でなく、単に出資したことを証する書面であるから、当然競売ということはありえない。
  3. 中協法第17条によって、持分の譲渡は組合が承認しない限りできないので、たとえ組合員が譲渡を承認したとしても譲渡は行い得ないことになる。

(49-52)

出資証券の質入、担保について

事業協同組合の出資証券は、組合の承認があれば金融機関等に担保或いは質入れができるか?

組合出資証券の質入れを禁止する法律規定は何もないので、質入れは可能であるが、出資証券は自由に譲渡できず、それ自体換金価値を有する有価証券ではないので、質権の対象物たり得る価値は殆んど有していない。従って組合としては、これに承諾を与えないことを原則とすべきと考える。 (50-53)

出資証券紛失の際の取扱について

協同組合の組合員が、その出資証券を紛失した場合、組合及び組合員はどのような手続きをしたらよいか?

出資証券は、市場性を有する証券ではないから、一般の有価証券と同様に取扱う必要はなく、例えば預金通帳、領収書等の紛失の場合の取扱いと同様組合員より紛失届を提出させ、それにより組合は新たに証券を再交付するだけで差支えない。したがって、公示催告の手続きは要しない。 (50-54)

事業協同組合への加入の自由と加入拒否の「正当な理由」

事業協同組合が、加入申込者に対して、正当な理由がある場合には加入拒否ができると聞きましたが、どのような場合に「正当な理由」として加入を拒否することができるのですか。

事業協同組合(以下「組合」という。)への加入の自由は、協同組合法の基本原則の1つです。組合員は任意に加入し、また脱退できることが組合の重要な要件であり、組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は正当な理由がないのに、その加入を拒み、またはその加入につき現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならないこととされています(中小企業等協同組合法第14条)。
法は、組合が、相互扶助の精神を基調とする人的結合体であることから、加入の自由の原則をとっていますが、また、相互扶助の精神に基づき協同して事業を行う事業体であることから、組合の運営を考えて「正当な理由」のある限り加入を拒否することを許しています。この「正当な理由」とは、組合への加入資格がある者に対して一般的に保証されている加入の自由が、具体的な特定人に対して保障されないことになっても、組合法の趣旨から、あるいは社会通念上からも、不当ではないと認められる理由をいうものですから、組合が「正当な理由」に該当するかどうかを判断する際には、この点に十分留意することが必要です。
組合が加入を拒否できる「正当な理由」は、その原因が「加入の申込みをする側にある場合」と、「受け入れる組合の側にある場合」とがあります。
前者については、例えば、

  1. 加入申込者の規模が大きく、これを加入させれば組合の民主的運営が阻害され、あるいは独占禁止法の適用を受けることとなる恐れがあるような場合、
  2. 除名された者が、除名直後、またはその除名理由となった原因事実が解消していないのに、加入の申込みをした場合、
  3. 加入申込前に員外者として組合の活動を妨害していたような者である場合、
  4. その者の日頃の行動からして、加入をすれば組合の内部秩序がかき乱され、組合の事業活動に支障をきたす恐れが十分に予想される場合、
  5. 加入により、組合の信用が著しく低下する恐れがある場合、
  6. 組合員の情報、技術等のソフトな経営資源を活用する事業を行う際に、その経営資源や事業の成果等に係る機密の保持が必要とされる場合において、例えば、契約・誓約の締結、提出などの方法により機密の保持を加入条件とし、これに従わないものの加入を拒む場合(ただし、条件はすべての組合員に公平に適用されることが必要)、
  7. 組合の定款に定められている出資の引受け、経費、加入金の負担等が履行できないことが明らかな者である場合、

等が考えられます。
また、後者については、例えば、

  1. 組合の共同施設の稼働能力が現在の組合員数における利用量に比して不足がちである等、新規組合員の増加により組合事業の円滑な運営が不可能となるよような場合、
  2. 総会の会日の相当の期間前から総会の終了するまでの間加入を拒む場合、等が考えられます。

以上が、「正当な理由」と認められる場合の例示ですが、前者の(2)(4)(6)および後者の(2)は、平成3年の中小企業庁における組合制度の見直しにより、農業協同組合等他の協同組合制度の解釈を参考に、新たに「正当な理由」に該当するものとして認められたものです。(92-7)

加入拒否の「正当な理由」の解釈について

中協法第14条は、組合員資格を有するものであっても、組合は、正当な理由があれば加入を拒否できると解されるが、その正当な理由とは、どのような理由をいうのか?

「正当な理由」とは、組合員資格を有する者に対して一般的に保障されている加入の自由が具体的な特定人に対して保障されないこととなっても、中協法の趣旨から、あるいは社会通念上からも不当ではないと認められる理由をいう。「正当な理由」として認められるものとしては、次のような場合が考えられる。

  1. 加入申込者自体にある理由
    • 加入申込者の規模が大きく、これを加入させると組合の民主的運営が阻害され、あるいは独占禁止法の適用を受けることとなるおそれがあるような場合
    • 除名された旧組合員がただちに加入申込みをしてきた場合
    • 加入申込み前に員外者として組合の活動を妨害していたような者である場合
    • その者の加入により組合の信用が著しく低下するおそれがある場合
    • 組合の定款に定められている出資の引受け、経費又は加入金の負担等が履行できないことが明らかである者である場合
  2. 組合側にある理由 組合の共同施設の稼働能力が現在の組合員数における利用量に比して不足がちであるが等、新規組合員の増加により組合事業の円滑な運営が不可能となる場合 なお、「正当な理由」に該当するか否かについては、その事実をよく調査し、その実情に応じて判断するのが適当と考える。(56-58)

組合員の加入の是非について

私は仕出し屋を営む者で、同業者で構成している事業協同組合にも加入しております。今月の組合報を見ていましたら、私の店の近所に昨年出店したばかりのA商事が、組合への加入を承諾された旨を知りました。私のところはA商事とはいわば商売敵で、最新の調理機器を備えたA商事のために、昨年の売上はかなり減っております。また今後、A商事の加入のためにこれまでの組合の共同受注の割当ても減ることになるのではないかと危惧しております。組合がこのような利害関係にある私に何の相談もなくA商事の加入を承諾したことは甚だ遺憾であり、組合の今回の決定の白紙撤回を求めたいのですが、可能でしょうか。

お話によりますと所属されている組合では組合員の加入については理事会で意志決定されておるように推察されます。中小企業等協同組合法では第54条において総会について商法第252条(決議の不存在確認・無効確認の訴え)を準用しており、総会決議の効力を争うことができることとされていますが、理事会についての同様の準用規定がありません。しかし組合員の加入のように、組合の意志決定が常に総会の議決によらなければならないというものでなく、その権限が理事会に委ねられている場合には、商法第252条を類推適用し、理事会の決議の無効確認を求めることは可能であると思われます。
さて組合法第14条では、組合は正当な理由がないのに組合員たる資格を有する者からする加入申込みを拒んではならない旨を規定しています。
つまり資格を有する者に対してはその者が希望をすれば組合に加入して組合の事業の恩恵を受けることができるということです。ここでの加入申込みを拒否しうる正当な理由とは、

  1. 加入申込者の規模が大きく、これを加入させれば組合の民主的運営が阻害され、あるいは私的独占禁止の適用を受けるおそれがある場合、
  2. 除名された組合員がただちに加入申込みをしてきた場合、
  3. 加入申込み前に員外者として組合の活動を妨害していた場合、
  4. その加入により組合の信用が著しく低下するおそれがある場合、
  5. 共同施設の稼働能力が現在の組合員のみでも不足がちである等、組合員の増加により組合事業の円滑な運営が不可能となる場合等

に限られると解されています。
したがって、本事例の場合、単に受注配分が減るというだけでは、加入申込みを拒否し得る正当な理由とは言い難いと考えます。(89-3-1)

法定脱退した組合員の持分譲受加入の是非

組合員Aは平成○年12月2日組合員資格喪失により法定脱退したが、その未払持分を譲受けることによりBの加入を、翌年の3月15日の理事会で承諾した。このような資格喪失者の未払持分で譲受加入ができるか?

脱退した組合員の持分は、脱退と同時に持分のもつ身分権的なものが喪失しており、持分払戻請求権という債権として残っているだけである。
したがって、既に法定脱退した者の組合員としての権利義務を承継することとなる譲受加入ということはあり得ず、当該譲受人の加入は新規加入の手続によらなければならない。(58-60)

脱退組合員の再加入について

事業年度末(3月31日)に自由脱退した組合員が翌4月1日に新規加入を申し出た場合に、理事会でこれを拒否することができるか?

加入も脱退の場合と同様、自由であることは協同組合の基本的原則であって、設例の場合も正当な理由がないかぎり、これを拒否することはできない。(58-61)

個人組合員の会社移行の場合の取扱いについて

組合員であるA商店(個人企業)では、現在、A商店を株式会社組織に変更する手続きを進めているところですが、手続きが完了した時、組合は、A商店から、定款の規定に基づき、「名称」の変更届を出してもらうとともに組合員名簿を変更しようと考えています。この処理方法でよろしいでしょうか。

「名称の変更」という点に着眼するならば、この手続きのみでよいように思われますが、この手続きには、大きな見落しがあります。つまり、定款で組合員に名称等の変更が生じた場合、届出義務を求めていますが、これは、個人企業の場合は、個人企業としての性格を有しながら、商号等の企業名を変更する場合です。
ご照会の場合は、「個人企業」であるA商店が、「株式会社法人」であるA商店に変更されるようですが、これは、個人企業であるA商店の脱退(A商店は代表者の事業の廃止に伴い法定脱退(中小企業等協同組合法第19条第1項第1号)とA商店株式会社という法人の新規加入という2つの行為を含んでいます。
したがって、原則的には、個人企業A商店には、事業の廃止に伴い持分払戻し請求権が生じ、組合は、この請求に応じ、脱退の手続きをとることが必要となります。また、法人であるA商店株式会社を組合に加入させるには、A商店株式会社からの加入の申し出が必要であり、この申し出に対する組合の承諾が得られた後、A商店株式会社は組合に対して、出資金の払込みを行うこととなります。
しかし、個人企業であるA商店と法人であるA商店株式会社が、実態的にみて、併存するようであるならば、組合員であるA商店は、組合の承諾を得た後、法人であるA商店株式会社に持分を譲渡し、脱退することが可能です。この場合には、譲り受けた法人は、当然に組合員となり、出資金の払込みは、必要としません。(88-8-2)

持分払い戻し方法変更のための定款変更の議決方法について

持分全額払戻制をとる組合が、出資限度の払戻方法に定款変更する場合は、組合員にあっては既得権の放棄を意味するので、総会における定款変更決議とは別に組合員全員の同意が必要ではないか?

持分払戻方法に関する定款変更については、中協法第53条による特別議決をもって足り、特に組合員全員の同意は要しないものと解する。
すなわち、中協法第53条において定款変更は特別議決によること、また持分払戻しに関して同法第20条に「ー定款の定めるところによりー全部又は一部の払戻しを請求ー」と規定するだけであり、中協法上組合員全員の同意を要する規定がないので、これが法律上明文の規定がないことを根拠として、通常の定款変更の手続きで足るものと解する。
なお、持分については、既得権たる財産権と解する見解のほか、脱退等により現実化する潜在的な期待権とする見解もあるので、本件については、総組合員の同意を得ることは好ましいことではあるが、現行法上は法53条の特別議決をもって足りるとする見解は中小企業庁においても採用しているものである。(59-62)

脱退者に対する持分の分割払戻しについて

多額の借入金、出資金等によって固定資産を取得している工場団地協同組合等において、組合員が脱退した場合、脱退者の持分を全額一時に払い戻すことは組合の資金繰りがつかず組合運営に支障をきたすことが考えられる。
そこで、定款変更するに当たり次の点について、ご教示願いたい。

  1. 持分の払い戻しを年賦払いとすることの定款変更の適否について。
  2. 適当である場合の年賦払いの期間はどの程度が適当であるか?
  3. 定款変更案として次のような定め方は適当であるか?
    事業協同組合定款例第14条に相当する規定に次の1項を加える。
    案の1
    「2前項の払い戻しの期限は、脱退した事業年度の決算確定後○年以内の年賦払いとするものとする。
    ただし、年賦払いによる利息は支払わないものとする。」
    案の2
    「2前項の払い戻しは、年賦払いとし、その期限は、総会の定めによるものとする。 ただし、年賦払いによる利息は支払わないものとする。」

持分の払い戻しの取扱いについては、昭和46年1月6日付45企庁第2,048号及び昭和46年4月8日付46企庁第534号で通知したとおり、持分を一時に全額支払うことが組合の事業運営に重大な支障を来す場合においては定款で定めれば、その一部に限り(例えば出資額を限度として)払い戻すことができる。持ち分の全額払い戻しの場合も同様の理由から定款上分割払いを規定することは可能と考える。
しかし、分割払いによって不当に脱退が制限されるべきではなく、1回の払戻金額、賦払期間が合理的に定められる必要がある。この場合、どの程度までの分割払いが合理的かは具体的事情に即して判断されるべきものと考えるが、中協法上出資払込みにつき分割払いの際、第1回の払込金額は、出資1口の金額の4分の1以上としていること(第29条第2項)から第1回払戻額が出資額の4分の1以上であれば合理的といい得るものと考える。ただし、分割払いにより脱退を不当に制限しないという趣旨から3年賦払いの場合、一般的水準の金利を支払うことが適当と考える。
なお、払戻の方法(1回の払戻額、賦払い期間等)は中協法第20条第1項の趣旨から具体的には定款で定めるべきものと考える。(63-67)

持分払戻方法を変更した場合の新定款の効力について

脱退者に対する持分を全額払い戻す旨の定款規定を出資額限度に改めるための臨時総会が適法に開催され、決議が有効に成立し、当該事業年度にこの変更申請が認可された場合において、次の者に対する持分の払い戻しに関する定款の適用については、各々次のように解釈するが適当か?

  1. 臨時総会で反対を唱え、容れられなかったため脱退を予告した組合員
    (解釈)
    自由脱退の場合は、脱退を予告した組合員といえども事業年度の終了日までは、組合員たる地位を失っていないし、組合に対する権利義務も他の組合員と同様に有しているのであるから、年度途中で変更のあった場合でも、変更後の定款によって持分の払戻しを行うこととなる。
  2. 死亡等による法定脱退者
    (解釈)
    死亡等による法定脱退の場合は、組合員の意思にかかわらず法定された事由に該当するにいたったとき法律上の効果としてただちに脱退せざるを得ず、組合員たる地位及び権利を失うのであるから、持分の払戻しはその脱退の時点において効力を有していた定款に準拠すべきであると解する。

1,2とも貴見のとおりである。(66-69)

出資額限度持分払戻し規定の意味

私はこのたび所属している組合を脱退することとなりました。私の所属する組合の持分払戻しに関する規定はいわゆる出資額限度の払戻しとなっていますが、いろいろ調べた結果、ここでいう「出資額限度」とは、払戻しの「下限」を出資額と定めたものであり、出資額以上の払戻しを受けることも可能のように思われますが、この解釈で間違いないでしょうか。

組合の脱退者に対する持分の払戻しに関して中小企業等協同組合法では、第20条第1項において、「組合員は、脱退したときは、定款の定めるところによりその持分の全部又は一部の払戻しを請求することができる。」と定められています。貴見の解釈は、昭和46年1月6日付け45企庁第2084号中小企業庁指導部長通達を類推されたものと思われますので、以下に本通達の要旨を示します。

一持分の払戻しの際の組合財産は時価による。
二この場合において、組合の実態にかんがみ、定款で持分の一部の払戻しを定めることができる。なお、払戻しの額の下限は出資額とし、定款において、それを上廻る額を適宜定めることは差支えない。

この通達の主旨は、組合が持分の一部の払戻しを定める場合、最低でも個々の組合員が拠出した出資額は払戻されるべきであるとの考え方から、出資額を下廻って払戻す規定を設けることは許されないということを述べています。つまり、組合員は出資額までは持分を保障されているという意味です。(除名による場合、組合財産が出資総額より減少した場合はこの限りでない。)
ところで、貴組合の定款規定は出資額限度払戻しの規定とのことですが、この規定は、組合員の権利として払戻してもらうべき持分として、出資額が最低保障されているものです。
しかし、出資額限度は、持分の一部について払戻す方法の一つですから、出資額以上払戻すことができるという意味のものではありません。(89-4-1)

加算式持分算定方法について

中小企業庁の模範定款例に、加算式持分算定方法の規定が追加されましたが、従来の改算式持分算定方法との違いについてご教示下さい。

持分の算定方法は、法に何らの規定がないので、定款で自由に定めてよいわけですが、一般にその方法として改算式(または均等式)算定方法と加算式(または差等式)算定方法があります。
改算式算定方法は、組合の正味財産(時価)の価額を出資総口数で除することにより出資1口当たりの持分額を算定し、それに各組合員それぞれの出資口数を乗じて各組合員の有する持分額を算定する方法です。
この方法によるときは、出資1口当たりの持分額が均等となるので、計算、事務処理が簡便ですが、原始加入者および増口分の出資の払込みに際しては、持分調整金を徴収する必要が生じます。現在殆どの組合がこの方法を採用しています。
加算式算定方法は、各組合員について、事業年度ごとに、組合の正味財産(時価)に属する出資金、準備金、積立金その他の財産について、各組合員の出資口数、事業の利用分量(企業組合にあっては従事分量)を標準として算定加算(損失が生じた場合はそのてん補額を控除)することによって、各組合員の有する持分額を算定する方法です。
この方法によるときは、各組合員の持分は、加入の時期、組合事業の利用分量等により不均一となるので、計算・事務処理が繁雑となります(持分計算を明らかにするための持分計算表と、各組合員別に持分額を示す持分台帳が必要となります。ただし、最近は電算機の普及により機械処理が可能となっています。)が、持分調整の問題を生じないし、また、組合員の組合に対する権利義務の表示について忠実であると言えます。
このように、この2つの方法にはそれぞれ特徴があり、組合の実情に応じて適宜選択する必要があります。このため、模範定款例に、平成3年6月12日の改正により、従来の改算式算定方法に加えて、これまで明確に示されていなかった加算式算定方法の規定が次のとおり追加されています。

○定款例第23条組合員の持分は、次の基準により算定する。
一出資金については、各組合員の出資額により算定する。
二資本準備金については、各組合員の出資額により事業年度末ごとに算定加算する。
三法定利益準備金、特別積立金及びその他の積立金については、各組合員が本組合の事業を利用した分量に応じて、事業年度末ごとに算定加算する。
四繰越利益又は繰越損失については、各組合員の出資額により算定する。
五土地等の評価損益については、各組合員の出資額により事業年度末ごとに算定し加算又は減算する。
2準備金又は積立金により損失のてん補をしたときは、その損失をてん補した科目の金額において有する各組合員の持分の割合に応じてそのてん補分を算定し、その持分を減算する。第53条第2項ただし書の規定又は総会の決議により、特別積立金又はその他の積立金を損失のてん補以外の支出に充てた場合も同様である。
3本組合の財産が、出資額より減少したときの持分は、各組合員の出資額により算定する。
4持分の算定に当っては、何円未満のは数は切り捨てるものとする。
(注書は略)
(93-1)

加算式持分算定方法への変更について

私ども事業協同組合では、これまで改算式持分算定方法を採用していましたが、このたび加算式持分算定方法に変更したいと考えております。その場合、どのような点に留意すべきかご教示下さい。

  1. 加算式持分算定方法の採用の意義
    加算式持分算定方法は、従来から改算式持分算定方法を採用している資産保有組合において、(1)土地等の含み資産または内部留保が大きいため、持分調整金としての加入金の額が増大し、その結果新規加入が阻害されるような場合、あるいは、(2)組合への加入年数(組合員歴)や事業利用による貢献を持分に反映させようとする場合に適する持分算定方法であることに、まず留意する必要があります。
    したがって、加算式持分算定方法は、持分の払戻し方法が、全額払戻しまたは多額の一部払戻し方法(帳簿価格以上の額を限度とする払戻し方法)である場合に意味があり、少額の一部払戻し方法(例えば、出資額限度方式や、出資額以上であるが帳簿価格に満たない額を限度とする払戻し方法)である場合には、採用の意味は少ないと考えられます。
    また、持分の払戻し方法が一部払戻しの場合で、加算式持分算定方法を採用する場合には、定款に規定される、持分の算定の内容と持分の一部払戻しの内容とは当然異なることになります(持分計算額よりも一部払戻し額の方が少ない)ので、持分の払戻しの際、組合員に誤解をされないよう注意を要します。
  2. 加算式持分算定方法の採用の手続
    まず、既存組合の加算式持分算定方法の採用の決定は、通常の定款変更の議決方法(特別議決)で足りるものと解されます。
    改算式から加算式に持分算定方法を変更する組合においては、加算式方法採用時の既存組合員の持分は、各持分構成資産について各組合員の出資額により算定することとなります。
  3. 組合財産の評価
    組合財産のうち、帳簿価額と時価が異なる資産については、時価(一括譲渡価額)評価する必要があります。その評価方法は、(1) 対象となる資産ごとに明確に定めておくこと、(2) 客観性があり、かつ、計算が容易であることが必要です。
    組合財産の評価に大きく影響する土地の評価方法は、様々な方法が考えられますが、一般に妥当と思われる方法としては次のものがあげられます。
    • 固定資産税評価額倍率方式
      通常の固定資産評価額を時価の○○%程度とみて、固定資産税評価額を○○%で除して時価に評価還元する方法。
    • 相続税評価額倍率方式
      通常の相続税評価額を時価の○○%程度とみて、相続税評価額を○○%で除して時価に評価還元する方法。
    • 不動産鑑定士による評価方式
      不動産鑑定士にその評価を依頼する方法。この場合は、1人の鑑定士のみによる評価では不十分であり、通常5人の鑑定士に依頼し、これらの評価額のうち最高値と最低値を切捨て、中三値の平均値をとる方法が適当です。

なお、含み資産の評価方法については、規約かまたは総会の議決によって定めておくことが必要です。(93-2)

持分の譲渡について(一)

中協法第17条第1項によれば、組合員は、その持分の譲渡について組合の承諾を得なければならないこととなっているが、組合は、その承諾を総会で決定しなければならないか?あるいは理事会でよいか?
また、同条第2項においては、持分の譲受人が組合員でないときは加入の例によらなければならないこととなっているが、加入の例によるとは、どの範囲を意味するのか?

持分譲渡の承諾は、業務の執行に属すると考えられるので、加入の承諾の場合と同様(事業協同組合模範定款例第9条第2項)理事会で決定すれば足りるものと解する。
「加入の例による」とは、加入の場合に準じて取り扱うということであるから、譲受人は組合員たる資格を有する者であって、かつ、その持分を譲り受けると同時に組合に加入する意思を有していなければならないことになる。また、組合の側においては、その譲渡の承諾に当たっては、正当な理由がなければこれを拒否し、又は承諾に際して不当に困難な条件を付してはならない。(61-64)

持分の譲渡について(二)

  1. 他人の持分の全部又は一部を譲り受けて組合に加入しようとする者からも加入金を取る定めをしても良い。
  2. 中協法第17条第3項の「持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する」とあるが、この場合の権利義務の承継とは具体的にどの様なことを言うのか?また質問1との解釈上の関連性について説明されたい。
  3. 加入に関し、定款に「他人の持分の全部又は一部を承継した場合はこの限りでない」と規定したとき、この後に「この場合の全部又は一部とは5口以上をいう」と但し書きしてもよいか?
  1. 加入金は持分調整金としての性格を有するものであるので、持分譲受加入の場合には徴収できないと考えられる。なぜならば、持分譲受加入の場合には、出資の払込手続を必要としないので、定款に定めた出資一口金額とこれに応ずる持分額との調整を行う必要が生じない(すでにこの点を考慮して持分の譲渡価格が当事者間で決定されたものと考えられる。)
    組合員の持分とは、組合員がその資格に基づいて組合に対し請求し又は支払うべき計算上の金額とこれを含めた組合員として有する権利義務を包括的に指す、組合員たる地位ともいうべきものの二義があると解され、本条、第15条、第16条、第61条にいう持分は後者を意味し、第20条、第22条は前者を意味している。
    したがって、法律上の持分が、いずれの意義に用いられているかは、個別的に判定すべきである。 このような観点から本条における持分を組合員たる地位の譲渡と解するかぎり議決権、選挙権、出資義務、定款服従義務等、組合員として当然有する権利義務も承継されるとともに持分払戻請求権又は出資払込義務も承継されるのである。
  2. 1との関連について、持分の譲受加入の場合には原始加入の場合と異なり、出資払込及び持分調整金の問題が生じないのは、本条の持分を前述のとおり解すれば、持分の譲渡は組合員の入替を意味する場合もあるから、その譲受に伴う代金(払込済出資金と持分調整金との合計額)の授受は当事者間で行われ、組合と譲受人とのあいだには関係を生じないからである。
  3. 貴組合の定款において、貴組合への出資口数を最低5口以上とし、また、現組合員のすべてが5口以上の出資を有しており、かつ5口未満の口数が生じた場合の処置が明確であれば差し支えないと解する。つまり、上記の場合以外においては新規加入者と譲受加入者との均衡を失するとともに脱退の自由を制限するおそれがあると思料されるからである。 (61-65)

国税滞納処分による組合員の持分差押えについて

国税徴収法(昭和34年法律第147号)によれば、税務署長は企業組合等の組合員の国税滞納に対してその持分を差押え、その持分を再度換価に付しても、なお買受人がないとき等の場合は組合等に対して、その持分の一部の払戻しを請求することができる(同法第74条)とある。しかし同条には、事業協同組合については特に規定していないが、事業協同組合にも同条の規定が及ぶものかどうか?
また、仮に上記の請求が正当であるとした場合に、当該組合の持分払戻方法が出資限度のときは、差押え請求であっても、出資限度として払戻請求に応ずればよいか?

国税徴収法第74条は、企業組合に限らず中協法に基づく他の協同組合にも適用されると解する。本条は、その適用者について「中小企業等協同組合法に基づく企業組合、信用金庫、その他の法人で組合員、会員その他の持分を有する構成員が任意に(脱退につき予告その他一定の手続きを要する場合には、これをした後、任意に)脱退することができるもの」と規定しているが、そのなかで、「その他の法人で組合員、会員その他の持分を有する構成員が任意に脱退することができるもの」の中に、企業組合以外の協同組合も当然含まれると解する。
また、払戻請求の限度については、定款に出資額を限度として持分を払戻す旨の規定があれば、本条による持分の払戻請求についても、出資額を限度として払戻請求に応ずればよいと解する。なぜならば、当該組合員が組合において現に有する権利以上のものを本条によって請求することはできないからである。(60-63)

持分譲渡禁止と定款規定抹消手続について

定款で持分の譲渡を禁止している組合があるが、これは組合員の加入の自由の原則に反し、中協法に違反していると思うがどうか?
また、それが違反であるとすれば、その定款の違反条項を抹消すべきであるが、それは行政庁の職権によるべきか?それとも定款変更の手続きによるべきか?

定款で持分の譲渡を禁止することは、中協法(第15条、第17条第2項)において認めているところの譲受加入を否定し、また、組合員の財産権に法律が認める以上の制限を付する(持分の譲渡には組合の承諾を要する=第17条第1項)ことになるので違法と解する。
違法である定款の条項を抹消する場合においても、定款変更の手続によらなければならない。(63-66)

脱退を申し出た組合員の取扱等について(一)

自由脱退者の取扱について
中協法第18条により組合を脱退することができるが、その予告期限、脱退の時期等は中協法により90日前までに予告し、事業年度の終了日に脱退できるようになっている。
したがって、それまでは組合員の地位を失ってないから、その組合員も他の組合員と同様に議決権の行使、経費を負担する等の権利、義務を有するが、脱退者の申出の点についての効力と其の取扱い方について、


  1. (1)A組合員5月10日に脱退の申出をした場合
    (2)B組合員7月2日に脱退の申出をした場合
    (3)C組合員12月30日に脱退の申出をした場合
  2. 脱退申出の組合員が其の後の組合運営についての権利義務を主張し行使できるか否か。
  3. 脱退者は其の申出日以降組合賦課金の納入をせず期末迄見送ることになるが、その間の取扱い方について。
  4. 脱退した組合員に対し期末に精算等の上、出資金の払戻をするが未納賦課金を其の際持分払戻する場合相殺して差支えないか。法第22条からして相殺することも妨げないと解されているか。

設例の組合事業年度終了日が3月31日であれば、1.の(1)~(3)は、いずれも90日の予告期間を満足させているので、脱退の申告があった日の属する事業年度末までは、組合員たる地位を失わないから、脱退の申出をしない組合員となんら差別してはならない。
したがって、2.についても事業年度末までの期間内は組合員としての権利義務を負わなければならないし、また3.にいうごとく、賦課金を納入しないならば組合員としての義務を怠ることになり、除名、過怠金の徴収等の制裁も定款の定めにしたがって可能となるわけである。
4.については、脱退した組合員が組合に対して未納賦課金その他の債務を負っている場合は、組合は中協法第22条の規定による持分の払戻停止によって対抗でき、あるいは民法第505条の規定により払い戻すべき持分とその債務とを相殺することもできる。(68-71)

脱退を申し出た組合員の取扱等について(二)

  1. 中協法第18条に、組合を脱退するには「事業年度末90日前迄に予告し、年度末に脱退できる」とあるが、例えばある組合で為された決議が一部の業態の組合員に著しく不利で営業不能となる為、仮に9月1日に脱退を通告しても、翌年3月末日迄は脱退できないか、又その決議に拘束されるか?
  2. 組合員が転廃業して組合を脱退したが、1ヶ月又は2ヶ月後再び元の事業を始めた場合、前に加入していた組合の拘束を受けるか?
  1. 中協法第18条に自由脱退の予告期間及び事業年度末でなければ脱退できない旨を規定した趣旨は、その年度の事業計画遂行上、組合の財産的基礎を不安定にさせないためであるから、設例のような場合、即ち9月1日に脱退を予告しても翌年3月末日迄は脱退できない。従ってその間、除名されない限りは依然組合員であるから決議にも拘束されるし、組合員としての権利を有し、義務を負わなければならない。
  2. 組合員が転廃業すれば、組合員資格を失い、法定脱退することになるので、組合員資格としての事業を再開しても、直ちに組合員となるわけではないから、その組合の拘束を受けることはない。(69-72)

脱退予告をした組合員への経費の賦課と配当について

ある組合員から、事業年度の途中で文書により脱退したい旨の通知がありました。その後、その組合員は組合の共同事業を利用しなくなったのですが、本年度の残りの経費(賦課金)の請求をしてもよいのでしょうか。
また今年度は、かなりの利益計上が予想される状況にありますが、来年度の通常総会において、配当する旨の決議がなされた場合は、その組合員にも配当できるのでしょうか。

組合員は、その年度の90日前までに予告することにより、組合を脱退することができますが、脱退の時期は事業年度末とされています(中小企業等協同組合法第18条)。このように脱退の時期を事業年度末に限定したのは、脱退による持分の払戻しにより組合事業計画が遂行できなくなることを防止する等の主旨からですが、いずれにしても、廃業等による組合員資格の喪失(法定脱退)でない限り、事業年度末までは他の組合員と同様に組合員としての権利・義務を有しているわけですから、仮に共同事業を利用しなかったとしても、年度中に賦課される経費を免れることはできません。したがって、組合は残りの経費を請求すべきです。
請求しても、なお組合員が経費を支払わなかった場合は、組合は脱退に際しての持分の払戻しを、経費の支払いが完了するまで停止することができる(中小企業等協同組合法第22条)ほか、更に民法第505条の規定により、払戻すべき持分と未収の経費を相殺することも可能です。
また、事業年度末に脱退した組合員に対する配当については、その源泉である剰余金は、その組合員の脱退した日が属する事業年度において生じたものですので配当することは可能であると考えます。(90-2-1)

脱退予告者の権利について

  1. 自由脱退予告者は、持分が計算される期末までの期間は組合員であり、持分権があると解釈してよろしいか?
  2. 1.の組合員は、その持分を確定する決算総会(通常総会、通常5月に開催される)に出席して、組合員権を行使することはできないと解釈してよろしいか?
  3. 脱退予告者が総代である場合、期末までの期間に総代の任期満了による改選があったときは、その組合員は総代の選挙権並びに被選挙権があるか否か?
  1. 組合員は、中協法第18条の規定により、脱退することができるが、この場合、予告を必要とし、かつ、脱退の効果は事業年度末でなければ発生しない。したがって、組合員は予告後も年度末に至るまでの間は依然として組合員たる地位を失うものではなく、それまでの間は、組合員としての一切の権利を有し、かつ義務を負うものである。
  2. 脱退の効果は、事業年度末において発生し、それ以後は、組合員たる地位を失うものであるから、組合員として事業年度終了後の総会に出席することはできない。
  3. 脱退届を提出している組合員が総代であっても、事業年度末に至るまでは組合員たる地位を失うものではないから、総代の選挙権及び被選挙権を有する。(70-73)

脱退予告取消しの効力について

4月~3月を事業年度とする組合において、9月末までに脱退予告の書面を提出した組合員が、10月1日以降翌年3月31日までの間に脱退予告の取消しを届け出た場合に、脱退予告の取消しができるものと解すべきか?

脱退が組合員の自由意志によって行い得ることは、協同組合の根本的原則である。しかしながら、随時脱退を認めれば、組合の事業計画及び資金計画が常に不安定となり、組合の事業を妨げ、又は組合の債権者の利益を害することになるので、脱退には予告を必要としているものであるが、予告後、その取消しを行っても予告が上述の趣旨により必要とされていることを考えれば、とくに弊害を生ずるものとは考えられないので取消しはできると解する。(71-74)

脱退届の撤回について

私どもの組合の事業年度は3月までですが、年が改まってから脱退届の撤回の申し出をしてきた組合員がおります。定款では事業年度の末日の90日前までに脱退の予告をする旨定めていますがどのように取り扱えばよいでしょうか。

中小企業等協同組合法第18条第1項では、脱退に関して事前予告制度を規定していますが、その趣旨は無制限に随時脱退を認めると組合はその都度持分の払戻しを余儀なくされることになって当該年度の事業計画の遂行に支障をきたし、ひいては取引の相手方の保護に欠けることにもなるなどの点を配慮し、脱退しうる時期を画一的に事業年度の終わりに制限し、かつ一定の予告期間をおくことを定めたものです。
また一旦脱退届が出されたときは、事業年度の終わりにおいて改めて脱退の意思表示を要することなく当然に脱退の効力を生じる性質の意思表示と考えられます。そのため事業年度の終わりが到来し脱退の効力が確定的に生じた以後では撤回する余地はありませんが、それ以前の段階では当事者間に何ら権利変動が生ぜず、その撤回を許したからといって組合もしくは第三者に格別の不利益を及ぼすことにはならないので、撤回が信義に反すると認められるような特段の事情がない限り原則として撤回できるものと思われます。(89-3-2)

脱退組合員の持分債権の保全処分について

組合員Bの倒産によりその債権者Aより組合宛に債務者であるBの持分を支払停止命令(裁判所より)してきた。 そのため、組合は、当年末決算において持分算出をしたが、支払を中止し、現在組合にて保管しているが、その処置を如何にすべきか、次の点をご指導頂きたい。

  1. 債務者Bの持分払戻請求権は、仮差押えのため、中協法第21条(時効)には該当しないものと思われるがどうか?
  2. 仮に組合が、この差押え該当部分を組合外に処分するためにはどのような手続きが必要か?
  1. 組合に対してなされた保全処分(仮差押)は法定手続に従い有効に執行(処分決定の送達)がなされたものであるから、この場合、組合は供託等による持分払戻金の組合外への処分の道はない。したがって、債権者AがBとの間の本訴を提起して、転付命令又は取立命令を得て直接請求してくるか、また債務者Bが仮差押を取消して組合に請求してくるのを待つよりほか、他に方法はないと考える。
    なぜなら、組合は持分払戻金を保管することにつき何等の不利益を受けるものではなく当該仮差押におよんだAB間の訴訟上の当事者たる資格を有しているからである。
  2. 債権者Aが仮差押したことが、民法にいう時効中断事由に該当するかどうかについては、学説、判例に争いがあり、判例は債務者Bの有する第三債務者(組合)に対する債権をその債権者Aが差押えても、その債権(持分払戻請求権)の消滅時効の進行はそれによって中断しないものとしており、したがって、この場合には仮差押のあるなしに拘らず2年で時効が完成することになる。
    学説は判例の立場に反対で、この場合の差押も債権消滅時効の中断事由になるとするのが一般で、この場合は、請求権は時効にかかわらず、依然存在することになる。(65-68)

脱退者に対する延滞金の徴収について

法定脱退者が組合に対する経費又は斡旋原料代等を滞納しているとき、仮に本年4月に法定脱退した者に本事業年度末たる○年3月末に持分算定の上、払戻すことになるが、この場合4月以降滞納金の払込がない場合年度末までの延滞金(定款及び総会議決をもって徴収するよう規定されている)をも加算して、払戻持分より差引して支障ないと解せられるが、それでよろしいか?

脱退した者に対し、債権を有する組合が脱退者に支払う持分と、その債権を相殺する場合、脱退以降持分支払までの期間に対し、定款に定める延滞金を課することはできないものと思われる。
定款は組合員でなくなった脱退者に対しては効力を及ぼさないので、脱退者から定款の規定によって徴収することができないものと考えられるからである。
ただし、脱退者より持分の確定するその事業年度末までは、脱退者の債務不履行に対し、民法の法定利率(年5%)による利息を課することができる。(67-70)

法定脱退者の持分払戻請求権の時効進行時期について

中小企業等協同組合法第21条には、脱退者の持分払戻請求権は脱退の時から2年間行使されない場合は時効となる旨の規定がありますが、組合員の解散・死亡等による、いわゆる法定脱退の場合は、その事由が発生した時から時効が進行するものと考えてよろしいでしょうか。

解散等による法定脱退の場合は、その事由が発生した時にその組合員は、当然に脱退することになります。したがって、持分払戻請求権もこの脱退事由の発生時(脱退時)に発生します。
しかしながら、持分の価額は、事業年度末における組合の財産によって算定することとなっています(中小企業等協同組合法第20条第2項)ので、持分払戻請求権は、この持分が算定された後に行使されることとなります。
つまり、法定脱退の場合も自由脱退の場合と同様に事業年度末までは、これを行使することができないこととなっています。
このようなことから、法定脱退者の持分払戻請求権の時効も自由脱退者と同様に事業年度末から進行するものと考えます。(89-2-1)

中途脱退者に対する利用分量配当について

本組合の事業年度は、9月から8月までである。本組合において、本年2月に法定脱退した者が7月に再び加入してきたが、利用分量配当は、脱退前の部分についてはこれをする必要がないと思うがどうか?

事業協同組合の剰余金の配当は、法第59条第2項の規定により利用分量配当の配当基準となる組合事業の利用分量の算定は、この配当が手数料、使用料等の過徴額の割戻し的な性格をもつものであるから、各組合員が当該事業年度内において納付した手数料、使用料等の額、又は共同事業の利用数量によって行われるのが適当であり、単に当該事業年度の組合員期間等で利用分量を算定することは適当でないと考える。したがって、設問の9月から2月までの利用数量等を利用分量配当の算定基準から除外することは不適当であると考える。(169-202)

解散する組合における脱退届出者の取扱について

本組合には、11月下旬に脱退を予告した組合員がいるが、その後開催した臨時総会で1月31日に解散することを決議した。この場合において次の点につき疑義があるのでご教示願いたい。

  1. 本組合の事業年度は4月1日~翌年3月31日であるが、会計年度はどのように設定されるのか(1月31日か3月31日か)?
  2. 脱退届出者は、その後になされた協同組合の解散の決議に何らかの影響を受けるのか?
  3. 脱退が有効である場合における当該脱退者の負担すべき組合の清算費用はどこまでか(例えば当該年度の決算の時か清算結了の時か)?
  1. 脱退の時期について
    組合が解散をした場合、事業年度は一応解散時において終了し、解散時より通常の事業年度末までが別の一事業年度となることが、法人税法上定められており、解散した組合は清算の範囲においてのみ存続することとなるので解散時の1月31日を事業年度(会計年度)末とするのが妥当であろう。
  2. 脱退予告の効力について
    協同組合は脱退の自由を原則としており予告は当然に有効であるので、事業年度末である解散時に脱退することになる。
  3. 脱退者の負担すべき清算費用
    解散時に脱退した場合でも清算に入るため、持分の確定は清算結了を待たねばならない。清算費用も公益費用として組合員に配分すべき財産から控除されるため、脱退者と残留組合員とで費用負担に差異はない。 (71-75)

除名要件について

法定脱退となる除名の要件について次の点を回答されたい。

  1. 定款例第13条第1号に規定する「長期間にわたって組合の事業を利用しない組合員」は、なぜ除名しなければならないか?
  2. 1.の場合の「長期間」とは、何ヵ月以上か?例えば利用については1年以上とか経費支払を1年以上怠るとか(1年以内では対象とするには過酷とも思われ、反面、経費支払を1年以上怠っては組合の年度事業計画の遂行に支障がある)。
  1. 組合は、組合員が協同して事業を行うべきであって、長期間にわたって組合の事業を利用しないような場合は、組合制度の主旨に反し、また、同志的結合の意志を欠いたものと認められ、組合員たる地位を与えておく理由がないからである。
  2. 何ヵ月以上が長期間であるかは、個々の場合に則して具体的に判断する他はない。組合事業に対する不熱心さが明らかである程度に長期間であることを要すわけで、実状に応じ判断すべきである。
    除名理由における「長期間にわたって組合の事業を利用しない組合員」の長期間とは、社会通念上許される範囲の長期間で、貴組合及び組合員自体が判断し決定すべきものであって、一般的に何ヵ月、何年とは定められない。(72-76)

組合の申し合わせをやぶった組合員の除名について

小売業者の組合において、同じ商店街にある大資本経営のスーパーマーケットへの対抗上同スーパーに入らないことの申し合わせを行った場合、同スーパーに入った故をもって、同組合定款の除名規定「組合の事業を妨げ、又は妨げようとしたとき」に該当するものとして除名するのは適当か?
なお、除名された組合員は営業ができなくなる事情にあるので、憲法上の営業の自由とも関係があると思われるが。
また、定款にスーパーに入った場合は除名する旨規定することは適当か?

組合員が組合から除名されることによって、営業を続けることが不可能となる場合、その除名は、独禁法第2条に規定する不公正な取引方法等に該当し、同法第8条第1項第3号から第5号違反となると解される。
また、組合員がスーパーマーケットに入った場合、除名する旨を規約又は定款に定めることは差支えない。しかし、その結果、除名された組合員が、市場条例等の関係から、事実上営業を続けることが不可能となるなど、営業活動に著しく不利益を与えるような場合は、規約又は定款はその部分について無効となる。
なお、本件と類似事件の審決例として、○○海産物仲買人協同組合の加入拒否の例がある。この事件は、スーパーマーケットを経営する事業者に対して、組合がその者の組合への加入を拒否したため、その事業者が商品購入が不可能となり営業ができないという事例であるがこれに対しては、独禁法第8条第1項3号及び5号違反の審決が下されている。(73-77)

組合員の責任の限度について

中協法第10条第4項によれば、「組合員の責任はその出資を限度とする」とあり、また法第20条第3項によれば「組合の財産をもってその債務を完済するに足りないときは、組合は定款の定めるところにより、脱退した組合員に対し、その負担に帰すべき損失額の払込を請求することができる」とある。この条文のうちその負担に以降の部分は「未払出資金があればこれを請求し得る」という解釈と「その負担に帰すべき」という言句により、前述の解釈を拡大して「組合員の責任は出資額を限度とする」という第10条第4項の規定を無視する解釈が成り立つことも考えられるがどうか?
また一例として出資金50万円、諸積立金20万円の組合が共販事業の失敗により欠損金100万円を生じた。積立金をとりくずし残額80万円を組合員が特別賦課金をもって補てんする決議を行ったが、一部組合員は出資金をもってそれに充当させ、脱退することを申し入れた。
この場合組合の財産をもって債務を完済し得ない30万円について脱退組合員に請求できないか?なおこの欠損金は数年にわたり、累積され既に先の総会に於て承認を受けているものであり、その再建をはかるため特別賦課金の徴収を決議されたものである。

中協法第20条第3項にいう「その負担に帰すべき損失額の払込云々」の条項は脱退者の持分の払戻に関し規定されたものであって、法第10条第4項の規定により、組合員は明らかに有限責任であるから、当然、「組合の未払込出資金があり、かつ欠損を生じている場合においては、未払込出資金額を限度としてその負担に帰すべき損失金額の払込を請求することが出来る」と解すべきである。勿論、定款に損失額払込の規定を設けない場合には、請求権がないことは法の規定からして明白である。
よって貴見第2の解釈の如く「その負担に帰すべき云々」のみを抽出してこの語句を拡張解釈することは妥当でないと解する。
なお、本規定は、無限責任の場合の規定であって、有限責任の場合の規定ではないとの見解もあるが、一応これは立法論として別に論ぜられるべき問題であると思う。
例題の場合の、総会で議決された組合の欠損金補てんについては、当該組合員が、特別賦課金をもってこれに当てることを承認したものでなければこれを請求することはできないものと解する。すなわち、法はその第10条第4項において「組合員の責任はその出資額を限度とする」と定めているので、出資額を上回る経費の分担とか、損失金の負担とか法第10条第4項との関係を検討してみると、まず、法は「出資額」を限度とするものである旨を規定しているのであるから、組合員が組合に対して負う財産上の出捐義務は、その額において有限であり、組合員がその額を超えて、財産上の出捐義務を負担することがないことは明らかである。また、その限度である出資額というのは組合員が出資を引受けた額、即ち加入する際に引受けた額のままであることもあろうし、加入後に他の組合員の持分を譲り受けることもあるだろうが、要するに組合員がみずからの意思で引き受けた出資の額と解するのが相当であろうと思う。
総会の決議又は定款の変更によって出資1口の金額の増加とか、出資額を上回る経費又は損失金について任意に賦課せしめることが出来るとすれば、法律上は、際限なく組合員の負担を加重させることが可能となり、組合員の責任には何ら「限度」が存在しないこととなって、法が第10条第4項に定めた「その額をもって組合員の財産上の出捐義務の限度である」旨の規定は無意味なものとならざるを得ない。
法第10条第4項の存在を無意味なものとして否定しない以上、同条項は総会の決議又は定款の変更によって加重することが出来ないもの、すなわち組合員が、組合に対して引受けた出資の額を超えて財産上の出捐義務をさせられることがない旨を保障される規定と解される。
したがって、問題は、組合が損失金を賦課することによって、組合員に「その出資額」を超えて財産上の出捐をしなければならない義務が生ずるかどうかの点にかかっているということになる。
もし組合員に未払込があるならば、これをもって損金の補てんに当て得るので、第10条第4項は何ら関知するところでないが、もしそれを超えて出捐すべき義務が生ずるのであれば、それは同条項に抵触することとなる。
してみれば、組合は法第10条第4項の規定に照らし「その出資額」を上回る経費の賦課とか損失金の負担を課することが出来ないものと解するほかないであろう。だがしかし、法第10条第4項の規定は、組合員みずからの意思によっても「その出資」を上回って負担することを禁止する趣旨を有するものとは到底考えられない。よって当該組合のすべての組合員が同意した場合でもなお負担させることが出来ないという理由はないと思われる。以上の理由により、総組合員の同意がない限り、総会の決議をもってしても、すべての組合員に「出資額を上回る損失金額」を組合員の負担すべき金額として強制することは出来なく、本問の場合も当該組合員がそれを拒否し脱退するという以上、総会の決議である由をもってこれを請求することは出来ないものと解する。(74-78)

組合員の権利と義務について

当協同組合では、毎年組合員対して組合に関する知識の普及・啓蒙のために講習会を開催していますが、今般の講習会は、事務局長の私が講師となり、組合員の有する権利と義務について講義することとなりました。現在、中小企業等協同組合法を勉強しながら、整理を行っているところですが、なかなかまとめきれず困惑しています。
組合員の権利と義務にはどのようなものがあり、どのように分類することができるのかご教示下さい。

組合員は、定款の組合員の資格に基づいて組合に加入するわけですが、その結果として、中小企業等協同組合法(以下、「組合法」という。)では、組合の健全な運営を確保するために組合員に対し、種々の権利を保証するとともに種々の義務を負わせています。
まず、組合員の権利には、組合員が経済的利益を直接享受することを内容とする「自益権」と、組合員が組合の運営に関与することを内容とする「共益権」とに大きく分類することができます。
自益権は、個々の組合員が単独で行使することができるもので、次のようなものがあります。

  1. 組合事業(共同事業)利用権(組合法第9条の2)
  2. 剰余金配当請求権(同第59条)
  3. 残余財産分配請求権(同第69条による商法第131条の準用)
  4. 持分払戻請求権(同第20条)
  5. 出資口数減少請求権(同第23条)

次に共益権には、組合員が単独で行使できる単独組合員権と、一定数の組合員が共同することにより行使できる少数組合員権があり、前者としては、

  1. 議決権及び選挙権(同第11条)
  2. 定款、規約、議事録、組合員名簿、決算関係書類の閲覧謄写権(同第39・40条)
  3. 代表訴訟権(同第42条による商法第272条の準用)
  4. 理事及び清算人の行為差止請求権(同第42条による商法第267条の準用)
  5. 決議取消し、決議不存在・無効確認の訴権(同第42条による商法第247条、第252条の準用)
  6. 設立無効の訴を提起する権利(同第32条による商法第428条の準用)
  7. 合併無効の訴を提起する権利(同第66条による商法第104条の準用)

などがあり、また後者としては、

  1. 役員改選請求権(同第41条)
  2. 参事・会計主任の解任請求権(同第45条)
  3. 総会招集請求権(同第47条の第2項)
  4. 総会招集権(同第48条)
  5. 会計帳簿等の閲覧謄写権(同第4条の2)
  6. 清算人解任請求権(同第69条による商法第426条第2項の準用)

などがあります。
なお以上のほか、組合員が行政庁に対して求めることのできる権利として、不服申立書(同第104条-単独組合員権)、検査請求権(同第105条-少数組合員権)があります。

組合員の義務については、

  1. 出資義務(同第10条)
  2. 損失額支払義務(同第20条第3項)
  3. 経費分担義務(同第12条)
  4. 共同事業利用義務(同第19条)
  5. 団体協約遵守義務(同第9条の2第10項)

などがあります。
また、組合法では規定はありませんが、事業協同組合の模範定款例第18条に組合員の事業内容届出の義務があります。そして、これらが、組合法で保証された組合員の権利と課されている義務です。
権利と義務は、組合運営における車の両輪ともいうべきものです。従って、いずれかが優先される(例えば、義務の履行より権利の主張を優先させる等)状況では適切な組合運営は望めません。以上に留意しながら講義すべきであろうと考えます。(89-12)

組合員の対外的責任について

私は砂利採取業を営む者によって組織されている事業協同組合の組合員です。
先日、組合の得意先であるAさんが私のところに来て組合の理事長名義で振り出された持参人払式の小切手を見せ、組合で支払いを拒絶されたので、組合員が連帯して支払ってほしい旨言われました。支払義務があるのでしょうか。

組合員が組合との関係で負うべき責任については、中小企業等協同組合法第10条第5項に「組合員の責任は、その出資額を限度とする。」と規定されています。これは、組合員の責任について、無限責任ではなく組合員の出資額を限度とする有限責任である旨を明らかにしています。つまり、組合がいかなる債務を被った場合でも、組合員は組合に対して払い込んだ出資額以上の責任は負わないというものです。
ところで、「組合員の責任」とは組合に対する責任であって、直接に組合の債権者に対してはその責任を有しないと考えられます。これは、組合は組合員を構成員とする社団ではありますが、組合員とは別個の独立した人格体として取引の当事者になりうる権利義務を有しており、その取引によって生じた債権債務関係は、組合とその取引先という当事者間にのみ存在することとなるからです。つまり、取引先である相手方は組合に対してだけ債務の履行(支払い)を請求することができ、その組合員に直接その請求をすることはできません。
従って、貴社は組合の得意先であるAさんに支払う義務はありませんが、個人的に組合の債務保証をしている場合は、保証人としてその責任を負わなければならないことは言うまでもありません。(89-9-1)

組合員の権利義務の一時停止について

組合員の意思表示に依り組合を休会でき得るか否か?組合員にして組合員の経済的事情から賦課金を納入することが苦しいので、暫時組合を休会したい旨の申出があるのでこれについての取扱い方を回答されたい。

組合員が組合を休会するという意味が不明であるので回答しかねるが、組合が総会又は理事会の決議により、組合員の経費負担義務を免除(この場合は、定款を変更し、とくにやむを得ないと認める場合は、経費の全部又は一部を賦課しないことがある旨を明記する必要がある)するとか、あるいは組合員が自発的に組合に対して有する権利(議決権、選挙権、配当受領権等)を行使しないということであれば、とくに問題はないものと考える。しかしながら、例えば組合が組合員に対して賦課金を免除するという条件のもとにその組合員の基本権たる議決権等を停止するというような特約をすることは許されない。(77-79)

組合在籍年数により賦課金・手数料に差等を設けることについて

設立後数年は配当もなかったが、創立後10年を経た今日、業績も伸び収支もよくなり、新組合員は加入時から配当もあり、事業利用条件も有利となっているので、創立時の組合員とその後の加入組合員とで、次のように賦課金等に差等を設けることはできるか?

  1. 創立後加入組合員のみから何らかの方法で賦課金を徴収すること。
  2. 使用料及び手数料についても、上記のように差等をつけてよいか?
  1. 一般に経費の賦課方法としては、組合員に一律平等に賦課するいわゆる平等割の方法や、組合員の生産高、販売高等によるいわゆる差等額の方法、あるいはこれらの方法を併用する方法等があるが、経費は組合の事業活動に必要な費用(例えば、事務所費、人件費等)として充当される組合内部における一種の公課的なものであるから、新規加入者に対してのみ賦課することは法第14条に規定する現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付したことになると解する。
  2. 使用料及び手数料は、組合の経済的事業の運営上必要な費用を賄うためのもの(例えば、資金貸付利子、検査のための手数料等)であって、これも新規加入者に対してのみ徴収することとすることはできない。(78-80)

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